第266夜 ページ31
『…どういうこと？』
不審な言葉に僕は父を睨み返した
僕が父様の息子だから負ける……一体何を言ってるんだ
「お前の敗因を告げよう
一つ目はお前がヘルエレガルという大貴族であったこと
施しを"当然"のこととして享受するその在り方。幼少から根付いている貴族の立ち振る舞い」
＿＿＿屋敷しもべの淹れる紅茶は美味かったか
その言葉にふと僕の頭の中に、入学当初から身の回りの世話をする妖精の姿が浮かび上がった
城にいる間、僕の回りを彷徨いていたあの妖精だ
初めて会ったのは確か入学式の後
僕の部屋を一人で片付けていたっけ
甲斐甲斐しく世話を焼くあの妖精は、事あるごとに紅茶好きの僕のためにティーセットを準備していた
「そろそろ気付いたか？その不調の原因に
あのしもべ妖精はホグワーツにいる間お前を監視するために送った、
今学期、お前に薬を盛っていたのはあの妖精だよ」
絶句に呼応するように口の端から血が零れた
「お前に盛っていた薬は"認識阻害の魔法薬"
ある特定の人物を記憶の中から綺麗さっぱり消す、闇の魔術に属する禁忌薬だ。喀血はその副作用だよ」
お前の目は少々厄介だからな。目くらましさせてもらった
そう続けた父に僕は言葉を紡げずにいた
知らぬ間に始まっていた勝負に呆然とする
「お前の記憶から抜け落ちている人物が誰なのかは、また今度考えるといい」
ホグワーツに闇が紛れ込んでいて、僕の目はそれを見通せた筈なのに、出来なかった
また一つ無力感が募る
「敗因の二つ目は、お前が無垢であったこと。疑うことを知らぬ、愚かなほど真っ直ぐで無防備な性格であったことだ」
人の好意をそのまま好意として受け取る純真さ
疑いもせず与えられたものを享受するその愚直さ
きっと用心深ければ気付けた違和感を、僕はことごとく見逃していた
「そして最後に
＿＿＿父である私が息子のお前を知り尽くしていたこと
長年共に過ごしてきたから、お前の行動、性格その他全てを私は理解していた」
お前の強さも弱さも、全て父様にはお見通しなんだよA
杖を握る手に力が篭もった
余裕綽々の笑みを浮かべる父を僕は睨み返すことしか出来ない
「いいか、A。お前は勝負に出遅れている
先手必勝。例え相手が天才の息子だろうと、先んずれば人を制す事を父様自ら教えてあげよう」
戦いの火蓋が切って落とされた
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ﾆﾉｺｺ(プロフ) - ろあさん» なんと！ハリポタ沼に落ちてくれましたか〜！！(感激) きっかけが私の小説だったのも嬉しいです！ このままどうぞハッピーハリポタライフをお楽しみください笑 応援ありがとうございます！！ (2021年9月14日 15時) (
レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
ろあ - 炎のコブレット編完結お疲れ様です。そして更新ありがとうございます!!!!恥ずかしながらハリポタ映画、原作未修民だったのですが、ニノココさんのおかげでようやくハリポタの沼に無事堕ちることになりました感謝です...。応援しています!!(*´-`) (2021年9月12日 22時) (レス) id: 19553e8290 (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - Anemone．さん» 更新お待たせしました！ 6週もしてくれたんですね！作者冥利に尽きますっ！ちょっとでもワクワクしていただけるようなお話作り頑張りますね！応援ありがとうございます！ (2021年9月5日 22時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
Anemone．(プロフ) - このお話が本当に大好きで寝る前に何度も読み返させて頂いています。(現在6週目に突入致しました。)今後の展開がとても気になって毎日ソワソワしている自分がいます。笑 これからも作者様のペースでご自愛しながら更新頑張ってください。陰ながら応援しております。 (2021年9月1日 21時) (レス) id: 713158dcbc (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - ルイさん» あああああありがとぉおおおおおおお！！！！ (2021年8月31日 23時) (レス) id: c7287fd7d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年11月16日 19時
