第194夜 ページ8
僕とノエルは姿現わしで、観客と行商人でひしめくキャンプ場までひとっ飛びした
先日まで何も無かった筈の大地が、今は地面も目視できない程の人で溢れかえっている
「ほら、言わんこっちゃない…」
隣で大きな息を吐いたノエルを無視して僕は物珍しさに目を輝かせながら露店を見て回った
『これは何?』
真鍮製の双眼鏡のような物に目を留め一つ手に取ってしげしげと眺める
「
『ふーん……、おいノエル』
「はぁ……道草を食ってる場合ではないのですが…」
一歩後ろで待機していたノエルが懐から金貨を出して熱心なセールスマンに渡すと、自分は買ったばかりの万眼鏡を弄りながら歩を進めた
「もしかしてA?」
「あ、ほんとだ!」
『あれ、皆奇遇だね』
3歩も進まないうちに後ろから声を掛けられ振り返ると、ハリー達三人がアイルランドチームのシンボルカラーを身にまとってこちらに手を振っていた
「Aが来てるとは思わなかったよ!」
「クィディッチは興味無いのかと思ってたわ」
『まぁ諸事情でね』
肩を竦めてそう言うと背後から「ん"ん」とデカい咳払いをされた
「あ…こちらの方は…」
『ただの堅物さ、気にしなくていい』
途端に背に受ける睨みが強くなるのを感じ、僕はため息を呑み込んでハリー達に続けた
『じゃあそろそろ行かないとだから
また学校でね』
「うん、バイバイA」
「またな」
三人に手を振りながら人混みへと身を投じるとノエルも黙って眉をひそめて僕に追従した
今度は寄り道など許さないと睨みをきかせながら
「A!」
だがまたしても僕達の足を止めたのは、遠くからでも人目を惹くほどハンサムな男の声だった
「……坊ちゃん」
『煩いな。お前は先に行ってろよ』
そう小声でやり取りをしていると、若干息を弾ませたセドリックが笑みを浮かべてこちらに駆け寄ってきた
『こんにちは、セドリック』
「あぁ、まさか本当に会えるなんて…こんなに大勢の中で君を見つけられたのは奇跡だよ」
嬉しそうに顔を綻ばせるセドリックに僕もつられて笑うと、いきなり後ろからノエルが腕を掴んできた
「行きますよ」
『……はいはい』
これ以上は説得の余地が無いのを悟り、僕は名残惜しそうな彼に手を振ってその場を後にした
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三隣亡 - とても面白いです!!これからも頑張ってください!続きを楽しみにしてます! (2020年12月3日 10時) (レス) id: 94f806d9d0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。金曜ロードで、ハリポタが再放送していたので、勢いに乗ってまた読みに来ました。個人的に好きなシリーズが炎のゴブレット編なので、楽しみです。 (2020年11月17日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ニノココ(プロフ) - オタクさん» その事をジニー達にマウント取ってドヤ顔してる婚約者ちゃんも作者は好き…… (2020年11月13日 16時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
オタク(プロフ) - 婚約者にベタ惚れ主人公君…好き… (2020年11月10日 14時) (レス) id: 3a06b234dc (このIDを非表示/違反報告)
ニノココ(プロフ) - ハルさん» お父様私も好きなんですよね笑 身内には甘い人ってなんかいいですよね笑 厳しいけど親バカな所あるからねお父様…(キュン) なうでハリポタ見てます!来週ももちろんみます!笑 更新は今書いてる別作品が終わり次第やります!もうしばらくお待ちください…… (2020年10月30日 21時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニノココ | 作成日時:2020年7月4日 18時