第193夜 ページ7
『僕だって本当は行きたくないよ、面倒臭いし
……でも将来家を継ぐなら、今のうちに場数を踏んでおくべきだと思ったの
あ、でも死喰い人はお断りだからね』
気恥しさにほんのり赤くなる頬を隠すように父様から顔を背ける
今まで両親から言われて動く事はあっても、自分の意思で後継者になる為に行動を起こす事はなかったのだから当然だ
父様どんな顔してるんだろう、と振り返った
その瞬間
「A……」
『と、父様？』
ぎゅっと背後から抱き締められて驚きに声をあげる
部屋の隅の方でノエルが微笑ましそうに佇んでいた
「そうか、お前もついに……」
一人うわ言のように呟く父に僕は何も言わず回された腕にポンと手を置いた
「決勝戦の夜か……分かった
ちょうど私も用事が入っているから、困った事があればノエルに言いなさい」
『はぁい』
漸く抱擁から解放される
ていうか父様もその日用事があったのか、仕事か？
「とりあえず風呂に入りなさい
ノエル、準備は？」
「出来ております
さ、坊ちゃん。私がお背中を流してあげますからね」
『いいよ！来んな！赤ちゃんじゃないんだから！！』
腕まくりし始めたノエルを置いて僕はそそくさとバスルームへと逃げて行った
.
.
.
クィディッチ･ワールドカップ 決勝戦
遂にその日はやってきた
2週間の視察という名の遊興で疲労もそこそこ溜まり夜も深い眠りに落ちる事が増えたが、それも今日までの事だ
今日を乗り切れば暫くはまた平穏に過ごせるだろう、多分
「坊ちゃん、起きてください。旦那様は出発の準備が整いましたよ」
「いい、まだ寝かせておけ
試合開始までにAを会場まで連れてこい。私は先に行く」
「かしこまりました」
布団の中でうつらうつらしていると大きな手が頭を撫でた感触がした
バチッという音を最後に、父の気配は一瞬で消えてなくなる
また引き摺り込まれるように僕は夢の世界へと旅立った
『ふぁあ…もうちょい寝かせてよ』
「ダメです。流石にこれ以上は遅刻します
会場は混雑していますので余裕を持って行かないと」
律儀に真面目にテキパキと身の回りの世話を焼く男を横目に、己はのんびりと手櫛で髪を整える
ベッドに投げ出したままの足にサッと靴下を履かせたノエルを見て『(めっちゃお世話してくれるじゃん。おもろ)』と半ば呆れながら、僕も軽く伸びをして立ち上がった
さ、そろそろ行くか
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三隣亡 - とても面白いです！！これからも頑張ってください！続きを楽しみにしてます！ (2020年12月3日 10時) (
レス) id: 94f806d9d0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。金曜ロードで、ハリポタが再放送していたので、勢いに乗ってまた読みに来ました。個人的に好きなシリーズが炎のゴブレット編なので、楽しみです。 (2020年11月17日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - オタクさん» その事をジニー達にマウント取ってドヤ顔してる婚約者ちゃんも作者は好き…… (2020年11月13日 16時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
オタク(プロフ) - 婚約者にベタ惚れ主人公君…好き… (2020年11月10日 14時) (レス) id: 3a06b234dc (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - ハルさん» お父様私も好きなんですよね笑 身内には甘い人ってなんかいいですよね笑 厳しいけど親バカな所あるからねお父様…(ｷｭﾝ) なうでハリポタ見てます！来週ももちろんみます！笑 更新は今書いてる別作品が終わり次第やります！もうしばらくお待ちください…… (2020年10月30日 21時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年7月4日 18時
