第215夜 ページ29
『やっぱり、君が選ばれたんだね』
喜色を浮かべてセドリックが腰を上げる
僕が零した言葉に彼は上から見下ろして照れたように頬をかいた
「応援、してくれる？」
『前も言ったよね、もちろんだとも』
行ってらっしゃい
そう続けると、彼はコクリと頷いて足取り軽く別室へと駆けて行った
「……」
『セドリックの事嫌い？』
冷めた目で彼の後ろ姿を睥睨しているリゼに向けて尋ねる
彼女は何も語る事はないと言うように僕から顔を背けそっぽを向いた
「さて、これで三人の代表選手が決まった！選ばれなかった生徒達も含め、皆打ち揃って選手達を応援してくれることを信じておる」
ダンブルドアが大歓声の中声を張り上げて話を始めた
その声音からは喜びや嬉しさの感情が読み取れる
僕はリゼの機嫌をどう取ろうかと頬杖をついて、ダンブルドア先生の話に耳を傾けた
「選手に声援を送ることで、みんなが本当の意味で貢献でき＿＿＿＿」
その時、先生が不自然に言葉を切った
何が先生の気を散らせたのか
それは誰の目にも明らかだった
「あら、波乱ですわね」
僕に背を向けたリゼットから愉悦を滲ませた声が出た
楽しそうだなぁと呆れていると、再び燃え盛り始めたゴブレットから火花を迸らせて一枚の羊皮紙が吐き出された
それを先生が呆然と驚愕に手を震わせて空中で掴む
「……ハリー・ポッター」
徐に先生が読み上げたのは、半ば予想していた知人の名前
呼ばれた本人も、教師も、そして大広間中の誰もが訳が分からないと固まった
動じて居ないのは自分と目の前に腰掛ける婚約者ぐらいか
「ハリー･ポッター！！」
硬直し前に出ないハリーに痺れを切らした校長が大声でもう一度名を読ぶ
それを受けて慌てたようにハーマイオニーがハリーの背を押して前に行くように促していた
『波乱だねぇ…』
微笑みを消した校長が厳かに別室に移動するようハリーに促しているのが見える
ハリーは大広間中の視線に突き刺されながらふらついて消えて行った
ハリーがこの場を離れた途端硬直が解けた各校の校長達がダンブルドア先生を責めるように詰め寄る
それを合図に生徒たちも困惑や動揺からザワザワと騒ぎ始めた
「A！前へ！」
『は？僕？』
突然名前を呼ばれて今度は僕に視線が突き刺さった
「いいから行きなさいよ」
やはりというか、全く動じていないリゼに促されて僕は重い腰を上げた
さて、何を言われるんだか
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三隣亡 - とても面白いです！！これからも頑張ってください！続きを楽しみにしてます！ (2020年12月3日 10時) (
レス) id: 94f806d9d0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。金曜ロードで、ハリポタが再放送していたので、勢いに乗ってまた読みに来ました。個人的に好きなシリーズが炎のゴブレット編なので、楽しみです。 (2020年11月17日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - オタクさん» その事をジニー達にマウント取ってドヤ顔してる婚約者ちゃんも作者は好き…… (2020年11月13日 16時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
オタク(プロフ) - 婚約者にベタ惚れ主人公君…好き… (2020年11月10日 14時) (レス) id: 3a06b234dc (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - ハルさん» お父様私も好きなんですよね笑 身内には甘い人ってなんかいいですよね笑 厳しいけど親バカな所あるからねお父様…(ｷｭﾝ) なうでハリポタ見てます！来週ももちろんみます！笑 更新は今書いてる別作品が終わり次第やります！もうしばらくお待ちください…… (2020年10月30日 21時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年7月4日 18時
