第214夜 ページ28
開票日がやってきた
午前は仕事で、午後は課題の処理をしてクタクタになった体をリゼットに問答無用で引き摺られながら大広間へと向かった
その道すがらどこか浮き足立ったセドリックと出くわし、軽い調子で挨拶を述べる
『こんばんは〜セドリック』
「…こんばんは、A」
いつもより覇気のない声でセドリックが応えると、視線をチラと僕の隣にいるリゼットへと投げ掛けた
「えぇと、君は確か…」
「リゼット･アルディです。アルディで結構よ」
ツンと言い放つリゼに気圧されてセドリックが困ったように眉を下げた
彼女の歯に衣着せぬ物言いは慣れないとツラい
「えっと、アルディさんは……Aの、婚約者…だっけ」
「えぇそうよ。それが何か」
キッパリと発言したリゼットが不愉快そうに眉を顰めて僕の腕に絡み付く
大変な剣幕で真っ直ぐとセドリックを睨み付けるリゼットは、傍から見れば取り付く島もないだろう
『まぁまぁ…、ほら行こうリゼット。セドリックも』
「あ、あぁ」
きっと目を吊り上げてセドリックを威嚇するリゼに苦笑いを零しながら、僕達は奇妙な組み合わせで大広間に足を運んだのであった
開票の時間が来ると大広間中の蝋燭が全て消え、炎のゴブレットの青白い炎が一層輝いて見えた
皆が見守る中、突如ゴブレットから火花が飛び散り炎がメラメラと燃え上がる
そしてその炎の舌先から焦げた羊皮紙が一枚、はらりと落ちてきた
それをダンブルドア先生は難なく捕らえる
「ダームストラングからは……ビクトール･クラム！」
拍手喝采、歓声の渦に包まれてダームストラングの輪から一人の屈強な男が立ち上がった
そのままダンブルドア先生に促され、彼は別室へと意気揚々と消えていく
「続いてボーバトンから」
程なくして炎から飛び出してきた羊皮紙に再び注目が集まる
「フラー･デラクール！」
優雅に一人の女性が立ち上がり、テーブルの間を滑るように駆けて行く
『
「名が体を表してると思わない？」
『僕はリゼの方が綺麗だと思う』
息をするように褒めると、逆隣のセドリックが居心地悪そうに身を捻った
ごめん
もう彼女を褒めるのは癖なんだ
「最後にホグワーツからは」
そうこうしているうちに最後の一枚がゴブレットから吐き出された
校長が三枚目の羊皮紙を読み上げる
「セドリック･ディゴリー！」
ハッフルパフのテーブルから大歓声が轟いた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 987人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
三隣亡 - とても面白いです！！これからも頑張ってください！続きを楽しみにしてます！ (2020年12月3日 10時) (
レス) id: 94f806d9d0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。金曜ロードで、ハリポタが再放送していたので、勢いに乗ってまた読みに来ました。個人的に好きなシリーズが炎のゴブレット編なので、楽しみです。 (2020年11月17日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - オタクさん» その事をジニー達にマウント取ってドヤ顔してる婚約者ちゃんも作者は好き…… (2020年11月13日 16時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
オタク(プロフ) - 婚約者にベタ惚れ主人公君…好き… (2020年11月10日 14時) (レス) id: 3a06b234dc (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - ハルさん» お父様私も好きなんですよね笑 身内には甘い人ってなんかいいですよね笑 厳しいけど親バカな所あるからねお父様…(ｷｭﾝ) なうでハリポタ見てます！来週ももちろんみます！笑 更新は今書いてる別作品が終わり次第やります！もうしばらくお待ちください…… (2020年10月30日 21時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年7月4日 18時
