第210夜 ページ24
『4年ぶりかな？』
「そうね、最後に会ったのはお互い入学する前だった」
その言葉に一つ頷く
僕達は婚約者だが、実に長い事顔を合わせていなかった
お互い入学してからは都合が合わなかったのだ
完璧なクイーンズイングリッシュを操る彼女の手を引いて歓迎会が行われる大広間へと案内する
「そういえば、貴方どの寮にも属してないって聞いたけど、普段は何処に座っているの」
『気分』
そう言いながら手近な席に彼女を座らせた
テーブルには色とりどりのフレンチが所狭しと並べられている
帽子を取って少し乱れた髪の毛を細く美しい手で整える彼女の隣に僕も腰掛け、肘をついてそれを眺めた
「まぁ、お行儀が悪いこと」
眉を顰めたリゼットが咎めるように肘をついた方の腕にそっと触れる
僕は『はいはい』と言われた通りにお行儀よく姿勢を正してみせると、彼女は満足したように微笑んだ
リゼットと初めて出会ったのは、僕が神の杖と邂逅するより少し前の事
大体今から10年くらい前の秋だった
今でも鮮明に覚えている
許嫁として初めて顔を合わせた、あの日の事を
『お父上は元気？』
「相変わらずよ。でも最近ちょっと太ったかも」
『ふふ、会うのが楽しみだ。観戦に来るんでしょ？』
「えぇ」
二人で何気ない会話をしていると徐々に大広間に人が集まりガヤガヤと騒がしくなってきた
喧しい連中(双子)に絡まれるのを避けるため、席はグリフィンドールから最も離れたスリザリンのところに取ったが、周囲に集まってきた人を見遣って『(関係なかったか…)』と独りごちた
他校生も交えての歓迎会だから寮を問わず何処もワイワイと賑やかで、それはスリザリンも同様だったのだ
「落ち着いて話も出来ないわね…」
彼女は賑やかなのは別に嫌いじゃないが、騒々しすぎるのは鬱憤が溜まるらしい
それに騒音だけでなく、好奇心を隠そうともしない視線にも呆れ返っている
『じゃあさ、後で僕の部屋においで
一緒にお茶しよう』
「まぁ…、貴方が淹れてくれるのかしら？」
『……あんまり期待しないでよ』
クスッと微笑んでくれた彼女に嬉しくなって僕もニコニコと笑顔を返した
リゼのスマイルはいつだって僕を癒してくれる
「貴方に話しておきたい事があるの」
『奇遇だね。僕もだよ』
お互いに怪しげに視線を交わしたところで校長の号令がかかり、僕達は歓迎の言葉を述べるダンブルドアへと向き直った
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三隣亡 - とても面白いです！！これからも頑張ってください！続きを楽しみにしてます！ (2020年12月3日 10時) (
レス) id: 94f806d9d0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。金曜ロードで、ハリポタが再放送していたので、勢いに乗ってまた読みに来ました。個人的に好きなシリーズが炎のゴブレット編なので、楽しみです。 (2020年11月17日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - オタクさん» その事をジニー達にマウント取ってドヤ顔してる婚約者ちゃんも作者は好き…… (2020年11月13日 16時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
オタク(プロフ) - 婚約者にベタ惚れ主人公君…好き… (2020年11月10日 14時) (レス) id: 3a06b234dc (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - ハルさん» お父様私も好きなんですよね笑 身内には甘い人ってなんかいいですよね笑 厳しいけど親バカな所あるからねお父様…(ｷｭﾝ) なうでハリポタ見てます！来週ももちろんみます！笑 更新は今書いてる別作品が終わり次第やります！もうしばらくお待ちください…… (2020年10月30日 21時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年7月4日 18時
