第207夜 ページ21
馬車から降りた頃には既に日は落ちて、城から漏れる灯りが煌々と暗闇の中で輝いていた
『また明日もよろしくね』
送迎をしてくれた天馬を一撫ですると、天馬は地を蹴って猛スピードで空を駆けて行った
『(過労死しないといいけど)』
他にも何頭か代わりはいるが、こうも毎日ホグワーツと実家を行き来させるのは忍びない
学校が始まってから殆ど毎日顔を合わせている天馬を心配しながら、僕は草臥れた足を城へと向けたのであった
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『はいコレ』
挨拶もそこそこにスネイプ先生に差し出したのはノート
教員用のテーブルで優雅に食事中だった先生がジトッと睨めつけながらそれを受け取った
「提出期限ギリギリとは。もう少し余裕のある行動をしては如何かな、Mr.ヘルエレガル」
『えげつない量の課題を出しといてよく言うよ…』
先生の意地悪な物言いに疲弊した息をつき、今度は隣にいたマクゴナガル先生に羊皮紙を手渡していく
「よく出来ています。流石ですよヘルエレガル」
『んー…』
先生がレポートを読みながらそう言う
それには生返事をして、僕はフリットウィック先生にもノートを提出した
「ヘルエレガル、安らぎの水薬はどうした?」
『そうだったそうだった。えーと、確かこっちのポケットに…』
スネイプ先生の言葉に、レポート提出の他に魔法薬の調合も課されていた事を思い出し、僕はガサゴソとポケットに手を突っ込んだ
「ヘルエレガル、牙つきゼラニウムのレポートを私はまだ受け取っていませんよ」
『……なんだっけ』
安らぎの水薬が入った小瓶をスネイプ先生に渡したところで、スプラウト先生が催促するように言った
けれど薬草学のノートなんて今は持ち物にない
「5日前に廊下で話したじゃないですか。牙つきゼラニウムのレポートをお願いしますと」
『…あ〜!そうだ、そういえばそんな事を話した気が…』
「期限は今日までの筈なんですがね」
呆れるスプラウト先生に僕は『あちゃ〜…』と顔を手で覆った
「しかし明日も朝早いそうですし、期限を延ばしましょうか?」
『いいよ、先延ばしにするとまた忘れそうだし。今日中に終わらせる』
頭の中で今夜の予定を大幅に変更して内心溜息をつく
他にもやる事あるし、今日は徹夜だなとどんよりした
「大変そうじゃの」
成り行きを見守っていた校長が呟く
『…そうでもないよ』
首を横に振る
肯定するのはプライドが許さなかった
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三隣亡 - とても面白いです!!これからも頑張ってください!続きを楽しみにしてます! (2020年12月3日 10時) (レス) id: 94f806d9d0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。金曜ロードで、ハリポタが再放送していたので、勢いに乗ってまた読みに来ました。個人的に好きなシリーズが炎のゴブレット編なので、楽しみです。 (2020年11月17日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ニノココ(プロフ) - オタクさん» その事をジニー達にマウント取ってドヤ顔してる婚約者ちゃんも作者は好き…… (2020年11月13日 16時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
オタク(プロフ) - 婚約者にベタ惚れ主人公君…好き… (2020年11月10日 14時) (レス) id: 3a06b234dc (このIDを非表示/違反報告)
ニノココ(プロフ) - ハルさん» お父様私も好きなんですよね笑 身内には甘い人ってなんかいいですよね笑 厳しいけど親バカな所あるからねお父様…(キュン) なうでハリポタ見てます!来週ももちろんみます!笑 更新は今書いてる別作品が終わり次第やります!もうしばらくお待ちください…… (2020年10月30日 21時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニノココ | 作成日時:2020年7月4日 18時