第206夜 ページ20
(ハリーside)
『責任持ってこの子は埋葬しておくよ』
そう言ってAは息絶えた一本脚の欠けた蜘蛛を拾い上げた
水を打ったように静まる教室に、何人かの啜り泣く声や嗚咽が混じった
そんな空気はものともせず、Aはしげしげと蜘蛛を眺めている
その目に熱は無く、ただただ実験対象を観察している冷めた目だ
今しがた自分が奪い取った生命だという事を自覚していないようなその態度
僕達とは決定的に根本がズレている
彼は"殺す"事に何の躊躇いも見せなかった
その事に僕は背筋がゾッと凍る
「……貴方、正気じゃないわ」
隣のハーマイオニーがAを見上げて言った
Aは彼女に一瞥を寄越しただけで直ぐに視線を蜘蛛に戻した
そのまま何も言わずAは死んだ蜘蛛を連れて教室を出て行った
その後、授業をどんな風に過ごしたのか僕はハッキリ覚えていない
.
.
.
「彼、正気じゃないわ」
授業が終わると同時にハーマイオニーがさっきと同じ事を口にした
「人以外は違法じゃないからといって、あんなに簡単に蜘蛛を殺すなんて！」
「本当に。僕蜘蛛は嫌いだけど、アレはちょっとな…」
ロンもハーマイオニーに同調する
僕達はそのまま教室を出て次の教室に向かうべく廊下を足早に通り過ぎた
「正気じゃないと言えばマッドアイもだよな。普通生徒に許されざる呪文をやらせるか？」
ロンの言葉に僕も頷く
僕もそれがずっと気になっていたから
「Aの両親は死喰い人だって言われてるでしょう？ 証拠不十分で無罪だけど
その腹いせとして息子であるAにあんな事をさせたんじゃない？」
ハーマイオニーの意見に僕はハッキリと肯定もせず、うーんと唸った
何となく、嫌がらせだけじゃないような気がした
Aの反応を見て、何か、試しているような
「とにかく、次会ったらAを問い詰めなきゃ
なんであんな事をしたのか！」
「無駄だよ。Aがなんて言うか賭けてみるか？
"先生に言われて仕方なくだよ"って言われるのがオチだぜ」
憤慨するハーマイオニーと皮肉ったように笑うロンに挟まれて、僕も言うだけ無駄だろうなと諦観した
これまでの付き合いで、彼が自分の事をベラベラと喋る人間ではないと分かっていた
そもそも気紛れな性格だから次いつ授業に現れるのかも分からない
その考えを裏付けるように、その日以降彼は授業はおろか学校にすら居ない日々が増えたのであった
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三隣亡 - とても面白いです！！これからも頑張ってください！続きを楽しみにしてます！ (2020年12月3日 10時) (
レス) id: 94f806d9d0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。金曜ロードで、ハリポタが再放送していたので、勢いに乗ってまた読みに来ました。個人的に好きなシリーズが炎のゴブレット編なので、楽しみです。 (2020年11月17日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - オタクさん» その事をジニー達にマウント取ってドヤ顔してる婚約者ちゃんも作者は好き…… (2020年11月13日 16時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
オタク(プロフ) - 婚約者にベタ惚れ主人公君…好き… (2020年11月10日 14時) (レス) id: 3a06b234dc (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - ハルさん» お父様私も好きなんですよね笑 身内には甘い人ってなんかいいですよね笑 厳しいけど親バカな所あるからねお父様…(ｷｭﾝ) なうでハリポタ見てます！来週ももちろんみます！笑 更新は今書いてる別作品が終わり次第やります！もうしばらくお待ちください…… (2020年10月30日 21時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年7月4日 18時
