第205夜 ページ19
「二つ目は？」
先生がガラス瓶から二匹目の蜘蛛を取り出し机の上に置く
蜘蛛は状況を理解しているのか、恐ろしさに縮こまりじっと動かなかった
「……磔の呪文」
小さな声がシンと静まり返った教室に響く
誰もが固唾を呑んで見守る中、ネビル･ロングボトムがおずおずと手を挙げていた
「……その通り
磔の呪文。それがどんなものか分かるように少し大きくする必要がある」
そう言って先生は杖を蜘蛛に向けて「
「ひっ」
蜘蛛が膨れ上がり、いまやタランチュラより大きい
恥も外聞もかなぐり捨て、蜘蛛嫌いのロンが椅子を引いて身を捻った
「ヘルエレガル、やってみろ」
『……』
予想していたがあまりのことに内心唖然する
何故この人はあくまで僕にやらせたがるのか
机の上で微動だにしない蜘蛛を見遣る
『
呪文を唱える
たちまち蜘蛛は脚を胴体に引き寄せるように内側に折り曲げてひっくり返り痙攣し始めた
僕は蜘蛛を食い入るように見る
蜘蛛に声があればきっと悲鳴が上がっただろう
「興味深いか？」
先生の声に蜘蛛に掛けていた呪文をパッと解いた
蜘蛛の脚が緩んだがまだヒクヒクと呪いの余韻が残っている
『いいえ、別に』
僕は蜘蛛を元の大きさに戻しながら先生の意図を探った
元闇祓いのマッドアイ･ムーディ
現役の頃は勿論、隠遁している今だって両親に死喰い人の疑いを掛けているのだろう
その息子が許されざる呪文を前にどんな反応をするのか
陰湿な嫌がらせのつもりだろうか
「……では最後の呪文だ」
ここまで来たらもうあとの流れは決まっている
『……』
僕は一瞬思考に耽る
考えが纏まると、僕は自ら瓶の中に手を突っ込み一匹の蜘蛛を引っ張り出した
暴れたせいか、それとも仲間内で争ったのか一本脚が抜け落ちている
『僕がやっても？ まぁ流れ的にそうするつもりだと思うけど』
手の中で蜘蛛を弄びながら言う
『最悪の呪文" アバダ ケダブラ "誰も抗う事の出来ない死の
まるでこの後何が起こるのか知っているように蜘蛛が狂ったように暴れ出した
『大丈夫。痛くはないさ』
その時
撫でつけようとした指の隙間から蜘蛛が必死に逃げ出し教室の床を走った
僕は人差し指を逃げ出した蜘蛛に向ける
「やめて！！」
誰かの金切り声が響く
その願いも虚しく、僕の指からは緑の閃光が迸った
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三隣亡 - とても面白いです！！これからも頑張ってください！続きを楽しみにしてます！ (2020年12月3日 10時) (
レス) id: 94f806d9d0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。金曜ロードで、ハリポタが再放送していたので、勢いに乗ってまた読みに来ました。個人的に好きなシリーズが炎のゴブレット編なので、楽しみです。 (2020年11月17日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - オタクさん» その事をジニー達にマウント取ってドヤ顔してる婚約者ちゃんも作者は好き…… (2020年11月13日 16時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
オタク(プロフ) - 婚約者にベタ惚れ主人公君…好き… (2020年11月10日 14時) (レス) id: 3a06b234dc (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - ハルさん» お父様私も好きなんですよね笑 身内には甘い人ってなんかいいですよね笑 厳しいけど親バカな所あるからねお父様…(ｷｭﾝ) なうでハリポタ見てます！来週ももちろんみます！笑 更新は今書いてる別作品が終わり次第やります！もうしばらくお待ちください…… (2020年10月30日 21時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年7月4日 18時
