悪夢のはじまり ページ1
村を見下ろす小高い丘に建つ、荒れ果てた屋敷
その薄暗い屋敷の階段で一人の老人が息を殺して耳をそばだてていた
光の漏れるとある一室から、先程からおぞましい会話
がなされている
魔法、死の呪い、ホグワーツ
どれも耳馴染みのない単語
その正気とも思えぬ会話から老人が読み取れたのは、ハリー･ポッターという子供が危険に晒されていることだけだった
「我が君、貴方様が魔法界にその名を再び轟かせる日も近いでしょう」
老人がその場を離れて警察に通報しようとした時、初めて聞く声が響いた
ワームテールという男でも、背筋も凍る冷たい声でもない。別の男の声だ
「我が忠実なる下僕、お前の息子は随分と俺様の邪魔をしてくれた」
「どうかお許しを、我が君
まだ息子は若輩故、貴方様の高尚なる思想に理解が及ばぬのです」
ワームテールと違い、男の声に怯えや恐怖といった感情は見受けられない
純粋に心から、冷たい声の主を己の君主として慕っているようだった
老人は踵を返しかけた足を戻す
「力は充分に付けております。貴方様に仕える日にはきっとお役にたつでしょう」
「あのじゃじゃ馬が大人しく俺様に従うとも思えん
幾度となく俺様の邪魔をした彼奴を、殺してやりたいくらいだ」
冷たい声に憤りの色が乗る
だがその圧される空気にも呑まれずに男は続けたのであった
「既に手は打ってあります。上手くいけば息子は貴方様の思い通りに」
「ほう？」
興味を示した冷たい声が探るように短く発した
「長年共に暮らしてきたのです。あの子の弱点も知り尽くしております」
「なるほど、なるほど。それは楽しみだなアトラス
俺様とて簡単に可愛らしい人形を逃したくない
楽しみにしておこう」
もういいだろう、早く通報しなければ
老人が階段を下りるべく後ろを振り返った
ズル…
ズル……
「っ！？」
老人は悲鳴を上げなかった自分を褒めたくなった
硬直している老人の足元を人間を丸呑みしそうなほど巨大な蛇が通り過ぎて行く
大蛇は部屋へと入り、そのままシューと息を吐いた
「ワームテール、アトラス
この部屋のすぐ外で老いぼれマグルが我々の話を盗み聞きしているそうだ」
老人が逃げなければと思った時には、もう遅かった
気付けば部屋の床に転がされている
老人が顔を上げた
その時
緑の閃光が走った
そこから300km離れた所でハリー･ポッターがハッと目を覚ました
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三隣亡 - とても面白いです！！これからも頑張ってください！続きを楽しみにしてます！ (2020年12月3日 10時) (
レス) id: 94f806d9d0 (このIDを非表示/違反報告)
ベルモット - お久しぶりです。金曜ロードで、ハリポタが再放送していたので、勢いに乗ってまた読みに来ました。個人的に好きなシリーズが炎のゴブレット編なので、楽しみです。 (2020年11月17日 2時) (レス) id: e8970a172e (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - オタクさん» その事をジニー達にマウント取ってドヤ顔してる婚約者ちゃんも作者は好き…… (2020年11月13日 16時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
オタク(プロフ) - 婚約者にベタ惚れ主人公君…好き… (2020年11月10日 14時) (レス) id: 3a06b234dc (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - ハルさん» お父様私も好きなんですよね笑 身内には甘い人ってなんかいいですよね笑 厳しいけど親バカな所あるからねお父様…(ｷｭﾝ) なうでハリポタ見てます！来週ももちろんみます！笑 更新は今書いてる別作品が終わり次第やります！もうしばらくお待ちください…… (2020年10月30日 21時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年7月4日 18時
