第147夜 ページ5
長いようで短い年末休暇は矢のように過ぎ、新しい学期が始まった
身も震える1月の朝
凝った体を解しながらベッドを降りると、グレーの肌触りの良いシャツに腕を通す
それから薄手のセーターとズボンを身に付け、手櫛で雑に髪を整える
学校に置きっぱなしだったのはこれくらいなので、少々寒くても我慢する他ない
しかし魔法で体を暖める事もできるし、そこまで困っている訳でもなかった
脱ぎ捨てたパジャマシャツを手に、部屋の外へと『洗濯物』と一言声をかけると、おずおずと屋敷しもべ妖精が扉から顔を出した
「お、お預かりします…」
『ん』
キーキーと金切り声をあげて受け取る下僕の手を見つめながら、僕は『それと』と続けた
『お茶持ってきて。ミルクはいらない。冷めないようにしてね』
「は、はいッ…！」
返事をした下僕がそのまま部屋を後にするのを見届け、ローテーブルに置かれた手紙を手に取り、椅子に腰かけた
"親愛なるAへ
あなたの居ないクリスマス、年末年始なんて初めてで、私はとても悲しいわ
一度でいいからあなたの顔が見たい
送った手紙も殆ど返事をしてくれないし…
怪我をしたと聞いた時も本当は駆け付けたかったし、家に無理矢理でも連れ戻したかったの
でもそんなことをしたら、今度こそ本当にあなたは私たちの事を嫌いになるんじゃないかって、怖くて…
パパも本当にAのことを心配しているのよ
この間ホグワーツにアトラスが行った時、あなた達の間で何があったのかは知らないけど
あの後からアトラスったらすごく落ち込んでて、見てて面白いの
手紙を書いては消しを繰り返し、海外から沢山お茶を取り寄せて
夫婦2人でアフタヌーンティーをしてるっていうのに、パパったらずっとあなたの席を見つめていて心ここに在らずなのよ
ほんと、妬けちゃうわ
A…、アトラスはね
普段は厳しい面が多いけれど、心の底からあなたの事を愛してる
あなたの前では常にカッコつけちゃって、出来る大人を演じてるけど
アトラスは…、一人息子がとっても可愛いの
学期が終わったら、今度こそ帰ってきてね
会えなかった分のお話を、沢山私たちに聞かせてちょうだい
それから
帰ったら、一番にパパにハグしてあげるのよ？
あなたの母 ソフィより"
綺麗な字で書かれたそれを封筒に仕舞い、僕は音もなく目を伏せた
＿＿＿愛してる、か
『……分かってるよ、そんなこと』
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LUNA - マジで想像力やばすぎて尊敬超えて尊敬(？)します。あと、最高すぎます｡ﾟ(ﾟ^ω^ﾟ)ﾟ｡ (7月31日 0時) (
レス) @page50 id: 5340503e64 (このIDを非表示/違反報告)
せそた - 夢魔のくだりから思ってたんですけど、型月ファンもといFGOユーザーですか？！ 透視の魔眼や詠唱がそれっぽくて思わずコメントしちゃいました すっごく面白いです！ (2022年4月10日 23時) (レス) id: 983e14398b (このIDを非表示/違反報告)
牡丹 - BL要素あるならBLフラグ立てた方が良いかと！違反になってしまうので (2020年10月14日 23時) (レス) id: b919622afe (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - オタクさん» 私も好きです！笑 書いてて楽しいし笑笑 気に入ってもらえて嬉しいです！ (2020年7月4日 14時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
オタク(プロフ) - お父さん怖いけど親バカで好き。 (2020年7月4日 8時) (レス) id: 3a06b234dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年3月27日 18時
