第163夜 ページ21
絶望の補習を言い渡されたテストの帰り
『(僕何かしたっけ…？)』
居心地の悪い視線を向けてくるハリーに僕は首を傾げ、問いただそうと試みる
しかし城の玄関ホールに見知った顔を見つけ、それは失敗に終わった
『ごめんなさい大臣
あと一教科残ってるから』
調子良くお茶に誘う大臣を薄く微笑んで流す
悪い人ではないが、頭が足りない大臣
扱いやすい人物でもある
失礼な考えはおくびにも出さず、「そうか…」と残念そうに肩を落とす彼に人好きのする笑顔のまま問うた
『今日はおひとりで？
まさか大臣がホグワーツに来るとは思ってもみなかったよ』
「ん？ いやいや、A
今日はルシウスと他数名で来たんだがね……あまり嬉しくないお役目だ」
ふぅ、と深い溜息をついた大臣が頭から足の先まで僕を確かめると「傷は塞がったようだね」と嬉しそうに続けた
『えぇ、元々大したこと無かったし
ヒッポグリフの無罪、大臣ならきっと分かってくれるって信じてるよ』
「お、おぉ、そうだね…」
途端に狼狽える大臣を見て『(父様の根回し済みか…)』と目を細める
『(でもまぁ、付き添いが父様じゃなくてルシウスさんだったのはラッキーだな)』
外せない用事でもあったんだろう
ありがたい。動きやすくなる
その時、玄関扉の方から斧を指で撫でながら危険生物処理委員会の連中が歩いてきた
彼らは僕の姿を認めるや否や身体を強ばらせると、不躾にもこちらをジロジロと視線で舐め回してきた
その様子を睥睨して口を開く
『皆せっかちだね
まるでもうバックビークの処刑が決まったみたいだ』
「こ、これはだね、A…」
僕と父様の板挟みで青褪める憐れな大臣
どちらかを切り捨てられない弱さが仇になっている
『また後でお会いしましょうね、大臣』
「う、うむ。そうしよう」
猶予が少し延びただけだというのに呑気にも安堵の息をつく大臣からは目を逸らし、僕は相変わらずこちらを観察してくる死刑執行人らに鋭い視線を飛ばした
『それとお前達』
「「……」」
隠す気もない薄ら笑いと無礼な態度を一蹴し、続ける
『下人が容易く視線を寄越すなよ
それとも何だ？
貴族と目を合わせても良いと、お前達の主人はそう言ったのか？』
「「……申し訳ございません、ご令息」」
奴らは漸く鬱陶しい視線を俯かせると、頭を下げた
『ではまた、大臣』
そう言って踵を返す
慌てたようにハリー達もまた後ろに続いた
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LUNA - マジで想像力やばすぎて尊敬超えて尊敬(？)します。あと、最高すぎます｡ﾟ(ﾟ^ω^ﾟ)ﾟ｡ (7月31日 0時) (
レス) @page50 id: 5340503e64 (このIDを非表示/違反報告)
せそた - 夢魔のくだりから思ってたんですけど、型月ファンもといFGOユーザーですか？！ 透視の魔眼や詠唱がそれっぽくて思わずコメントしちゃいました すっごく面白いです！ (2022年4月10日 23時) (レス) id: 983e14398b (このIDを非表示/違反報告)
牡丹 - BL要素あるならBLフラグ立てた方が良いかと！違反になってしまうので (2020年10月14日 23時) (レス) id: b919622afe (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - オタクさん» 私も好きです！笑 書いてて楽しいし笑笑 気に入ってもらえて嬉しいです！ (2020年7月4日 14時) (レス) id: 612b09e7e0 (このIDを非表示/違反報告)
オタク(プロフ) - お父さん怖いけど親バカで好き。 (2020年7月4日 8時) (レス) id: 3a06b234dc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2020年3月27日 18時
