第51夜 ページ6
(セドリックside)
ハッフルパフの寮生と同じコンパートメントに入ろうとしたら、人数が多くて1人だけ入れなかった
だから僕は「違う所を探すよ」と言って他の友人達に席を譲ることにしたわけだけど、もう時間が時間だからか、空いているのはいけ好かないスリザリンの所ぐらいしかなかった
…いや、違う
まだ空いてる所に心当たりはある
けど、おいそれと近付ける様な人物でもなかった
「…行くしか、ないか…」
かと言ってずっと廊下にいる訳にもいかない
僕は意を決して、一人でコンパートメントを占領しているだろうある人物を探すことにした
…大丈夫。噂では優しく善良な性格だと言われてるし、確かにたまに大広間で見かける時は温和な微笑みを浮かべてることが多かった
「多分、あそこだ…」
僕の前方、あるコンパートメントが行き交う人々の視線を集めていた
気持ちはわかるけど、少し見すぎじゃないだろうか…？
僕は「ごめん、ちょっと通して」と人垣を潜り抜けやっとの思いで扉に手を掛けた
「ここ、空いてるかい？」
少しドキドキしながら中の人物に声をかけると、彼は一度だけ視線を寄越してまた手元の本に注意を向け直してしまった
…失敗だったのか？
少し不安になり始めた時、漸く彼は凛とした声で『どうぞ』と返事を返した
「ありがとう」
胸を撫で下ろしながら彼、A･ヘルエレガルの目の前に腰掛けると、改めて僕は何やら難しそうな本を読んでいる彼に声をかけた
「えーと、僕はセドリック･ディゴリーって言うんだけど…」
『ん？
あぁ、僕はA･ヘルエレガルだよ。よろしくねセドリック』
同じコンパートメントの者として名を名乗ると、彼も同じように柔らかな笑みを浮かべて自己紹介した
…直ぐに読書に戻ったけど…
それからお互い口を開くことも無く、僕だけが気まずい空気のまま汽車は動き出した
途中、車内販売のおばさんからお菓子を買う時に「君はいいの？」と聞くと、彼は本に視線を向けたまま『僕は大丈夫』とだけ返した
それから購入した蛙チョコを食べて時間を潰していたが、それももう限界だろう
と、思っていた時
『また面白いことやってるなぁ…』
と彼が窓の外を見ながら呟いた
「え？」
僕も彼に倣って外を見る
けれど僕にはいつも通りの景色しか見えなかった
『チョコ、溶けちゃうよ』
僕の気を紛らわすように話しかけてきた彼は読んでいた本を閉じ、笑っていた
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 1657人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「男主」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
たると - 誕生日が、一緒だー!!!!!!!!!!!やったー!!!!!!!!!!!!!! (2020年11月22日 18時) (
レス) id: 4d06b37767 (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - 雪見だいふく魚味さん» ご指摘ありがとうございます！Miss.とMs.が混ざった謎の新しい単語を生み出してしまいました…笑 修正しておきました、報告感謝です！ (2020年2月16日 23時) (レス) id: cf3401d433 (このIDを非表示/違反報告)
雪見だいふく魚味(プロフ) - １つ気になったのですが、第94夜の『Mis,』って，『Ms,』ではないか？と思いました。英語はまだ習い始めたばかりなので，そう言う表現もあるのかもしれませんが，少し気になったので，報告させていただきました。長文失礼しました。 (2020年2月16日 22時) (レス) id: 2d7f9b3bbb (このIDを非表示/違反報告)
ﾆﾉｺｺ(プロフ) - オタクさん» ありがとうございます！ ハリーみたいに真っ直ぐなザ･主人公もいいけど、ちょっと複雑な主人公も良いですよね！これからも二人の対比にご注目ください！ (2019年7月16日 0時) (レス) id: cf3401d433 (このIDを非表示/違反報告)
オタク(プロフ) - 光と闇の主人公同士ですな。素晴らしい (2019年7月15日 2時) (レス) id: 3a06b234dc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ﾆﾉｺｺ
| 作成日時：2019年2月8日 21時
