第30夜 ページ32
休暇が明けて学校が始まっても、ベッドに横たわったまま行こうとしない僕の様子に、父様も母様も何も言うことはなかった
何度か部屋に来て「医者にみてもらおう」とか「せめて傷の手当を」と言われたけど、医者に診て貰わなくても嘔吐の原因はハッキリとしてるし、傷のことは『痛くないから』と言って部屋を追い出した
それになにより、学校に行く意味を見い出せない
授業の内容は幼い頃に習得したものばかりだし、図書室の本は禁書の棚以外は既に読破してしまった
いい成績を収めるのは簡単だけど、成績のためだけに行く学校なんてなんの魅力もなかった
ホグワーツに行きたいと思えるような何かが、きっと皆は持ってるだろう何かが、僕にはなかった
「A…? ダンブルドア先生がいらっしゃったわよ、お通ししていいかしら…?」
『……先生が…?』
不意に扉の外から声が掛かると、僕は突然の来客に目を瞠った
「A、少しワシと話をせんかの?」
確かに外からダンブルドア先生の気配と声がして、本当なんだ…と思いながら『どうぞ』と返す
「邪魔するよ」と言って先生が入ってくるのを、僕は横たわったまま見ていた
母様は「何かあれば屋敷しもべに仰ってください、先生」と言って下に行ってしまった
「ハッピーニューイヤー、A」
目が合ったと思ったら開口一番それで、多少身構えていた僕は肩から力が抜けるのが自分でも分かった
先生は僕の部屋を見回し「Aらしい、シンプルで上品な部屋じゃの」と言って話が進まないので、僕から声を掛ける事にする
『先生も大変だね、こんな不良を迎えにこなきゃいけないなんて』
「何か勘違いをしておるようじゃが、これは家庭訪問じゃよ」
先生がお茶目にウィンクを飛ばして来るので、僕は軽く笑ってしまった
『ふふっ、…いいよ、それじゃあお話しよう、先生』
「君が笑ってくれてワシも嬉しいよ」
横たわったままなのも失礼だから起き上がって、先生と自分の分の椅子を魔法で用意する
するとその様子を見ていた先生が「君は未成年の筈じゃが?」と疑問を呈した
『特別措置だって。……父様のコネでね…』
僕が苦笑いして言うとダンブルドア先生も「そうかそうか」と笑う
……意地悪だよね、先生も。知ってたくせに
…ま、いいや
『先生、本題からでいいよ』
「そうかの、それじゃあ早速」
ニッコリ先生が微笑むのを、僕も笑みを浮かべて応えた
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一ノ瀬 潤(プロフ) - 深掘りしたやつ公開範囲制限されたのですね😭見れなくなって残念です (6月14日 22時) (レス) id: de4baf91a8 (このIDを非表示/違反報告)
レイ - はぁ⁉︎めちゃくちゃ好きなんですが~⁉︎読み始めたばかりなのですが、応援してます!!! (2023年4月17日 21時) (レス) @page2 id: 58fc769308 (このIDを非表示/違反報告)
あまおうよりとちおとめの方が好き(プロフ) - 主人公の塩がちょうどいいくらいで好き (2023年2月2日 23時) (レス) @page27 id: 98a18d93d3 (このIDを非表示/違反報告)
Web版さん - この神作品を今の今まで知らなかったッ!!もう最高です!主人公くんの心境とかの変化がゆっくり変わっていてとても読みやすいです! あと「作者様って本派の人だッ!」ってことに気づいてとても嬉しかったです!これからゆっくりではありますが一気読みしてきます!! (2021年9月23日 21時) (レス) @page50 id: 902e47dacc (このIDを非表示/違反報告)
ネココロネ - こういう作品、ほんといいてすよね!もう、全部一気読みしてしまいました! (2021年2月19日 7時) (レス) id: 58abb9e774 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ニノココ | 作成日時:2019年1月24日 23時