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Aと暮らすようになって4年が経った。
留学組だったセンドーと宮城先輩は日本の実業団でバスケを続けてて、唯一サワキタだけが最高峰の舞台でプレーをしている。
走って動けてディフェンスも上手くてシュートも決められる選手はこの国に五万といる。
やっぱり厳しい世界には違いねぇ。
Aより先に大学を出た俺は即NBAとはいかず、今は下部チームに所属しながら、NBAを目指し変わらずバスケ一筋で生きている。

Aは大学でなんちゃらとかいう難しい試験をいくつもパスして、無事近くの病院で働いている。
事故とか怪我で動けなくなった人のリハビリに付き添ったり、食事メニューを考えたり、それを英語でやりとりして、なんかまぁすげー仕事をしている。
遠征が多くてアメリカ各地を転々とする生活だから、家に帰った時におかえりって言ってもらえるのは何にも変え難い喜びを感じるし、俺の一番近くで、少しでも長くバスケができるようサポートがしたかったからこの仕事を選んで必死に勉強したらしい。
もうAがいないと俺は生きていけねぇと思う。

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A引くかな、こんなの渡したら。
車高の低いスポーツカーの助手席に積まれた100本の薔薇と…コレ。
俺もスーツだし…先に笑うか。

不本意極まりないけど、アメリカでこんなこと相談できるのはサワキタしかいねぇから、あいつの人懐こさを利用して、何が喜ばれるか、何て伝えるのが良いかリサーチした。
「なんかさースーツでビシっとキメて、100本の薔薇を用意して、跪いてパカってやるのがセオリーらしいよ。言葉は直球勝負、Will you marry me?だって」

「ただいま」
「おか…どうしたのそのカッコ‼︎」
「ん、さっき契約してきた。次シーズンから上…」
「上ってまさか…」
「ん、そのまさか」
単身でアメリカに渡って7年目、ついに夢にまで見たNBAプレーヤーとなった。
泣いて喜んでくれるAに満足してる場合じゃねぇ。
もう一つ言わなきゃいけないことがあるんだった…
あのさ、と声をかけて背中に隠しておいた100本の薔薇を出してAの前に跪いた。

「結婚しよ」
「え?楓?ちょっと待って?え?」
「結婚しよ」
2回目の結婚、で指輪をパカっとした瞬間、Aの涙腺は崩壊した。

「うん、うん(泣)」
「結婚しよ」
「わかったって‼︎当たり前でしょ(泣)」
泣きじゃくるAを抱き締めて、俺たちはただの幼馴染から晴れて夫婦になった。

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作者名:ぎゅりこ | 作成日時:2023年2月27日 20時

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