02.おなじ気持ち ページ3
「俺、立海に行こうと思う」
小学校からの帰り道、赤く染まった空の下で、俺はAにそう告げた。
どんな反応をするだろう、と少し楽しみだった。
ずっと一緒だったから、寂しがるかな。
わたしも一緒に行く、と言いだすかもしれない。
もしかしたら、泣いてしまうかも。
そうなったら、どうやって慰めようか。
そんなふうにいろんな反応を想定していたのに、Aの反応はそのなかのどれでもなかった。
「そうなんだ、頑張ってね」
にこ、と笑いながらそう言った。
寂しさなど感じさせない表情だった。
少し、悔しかった。
俺たちが重ねてきた時間は、その程度のものだったのか。
Aは、俺と離れることなどなんとも思わないのか。
寂しいのは、俺だけ。
そう思うと、なんだか無性に腹が立った。
Aのくせに。あんなに泣き虫だったのに。
「A、俺と離れるの寂しくないの?」
Aは少し首をかしげた。
しかし、そんなのあたりまえだというように、すぐに口を開いた。
「寂しくないよ」
その言葉が俺にとってどれほど衝撃だったか。
楽しさはふたりで二倍に、悲しみはふたりで半分ずつ。
そうやって、今までずっとやってきたのに。
Aと俺の気持ちがおなじじゃないなんて、そんなのぜったいに許せない。
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←01.優越感にひたる
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作者名:琉央 | 作成日時:2018年9月6日 23時