迷子な少女は夜空を見上げる【ツイステ】 (ページ9)

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8日目ページ9

今日の晩御飯何にしようかな…

頭を巡るのは今夜の献立

オンボロ寮はゴーストが身の回りの支度をしてくれるけれど、食事はどうしても自分でしなければいけなくて

食費は学園長先生が支給してくれるからあまり気にしないでいいのだけど

人数も増えたし、今まで通りという訳にも…

うーん…と、頭を悩ませていると前方からこちらに手をブンブン振る人がやって来る

「おーい、Aー！」

『あ、丁度いい所に』

満面の笑みで駆け寄って来るのはカリムで

私はその隣にいるジャミルに用事が出来た所だ

「浮かない顔してどうかしたのか？何か悩み事か？」

『んー大した事じゃないんだけど、ちょっとね。聞いてくれる？』

「おう！オレ達でよければ聞くぜ！何か力になれるかもしれないしな！な、ジャミル！」

「おい、カリム！あまり迂闊に返事をするな！」

「何でだ？友達からの相談だろ？」

何か察したのかジャミルが渋り始める

ま、カリムを挟んだ時点で私の勝ちだけど

『実は…_________』

コトコトタンタンッカチャカチャ

オンボロ寮の食堂

手際よく食材を切ったり、炒めたり煮たりする音が響く

『助かるわ、ジャミル。３、4人前ってどれぐらい作ればいいのか分からなくって。グリムが余計食べるだろうし』

「はぁ…こんな事だろうと思った。お前がカリムに相談(・・)なんて有り得ないからな」

『カリムにお願いしたら、ジャミルが放っとかないと思って』

言葉では嫌々言いながら、的確に分量を教えてくれるのは従者故の面倒見の良さなのかしら

香ばしい匂いが食堂を覆うと同時に玄関先から賑やかな声が聞こえてくる

カリムにユウとグリムのお迎えをお願いしてたから、丁度帰って来たみたい

『ジャミル達も食べてくでしょ？』

「…いいのか？」

『いいも何も半分はジャミルが作ったようなものじゃない』

「そう言ってもらえると助かる。これからまた作るとなると時間と労力がかかるからな」

『いつもお疲れ様。そんなジャミルに…はい』

片付けも終え、テーブルに並べるだけになった頃

小さめの鍋をジャミルに手渡す

「これは？」

『カレー。カリムは苦手なんだろうけど、ジャミルは好きって聞いたから。よかったら食べて、今日のお礼』

ジャミルの表情が柔らかくなる

「ありがとう」

素直だ