迷子な少女は夜空を見上げる【ツイステ】 (ページ15)

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14日目ページ15

「さぁ、まずは聞かせてもらおうか？」

『すみませんでした』

寮の一室、私の部屋で椅子に座り向かい合う

笑顔は浮かべているものの、明らかに怒っているジャミルと

『あの男子生徒から告白されて、お断りしてたんだけどなかなか引き下がらなくて困っているところにジャミルが来たものだから…』

「だから？」

『つい』

「君は“つい”でこんな面倒事に人を巻き込むのか？」

『う"っ…』

ジャミルの言葉に何も言えなくなる

言い寄られて困っている時に丁度通りかかったジャミルの事を“彼氏”だと言って、その場は何とか切り抜けたのだけど

彼の目を見る限り、諦めた訳ではないようで

ジャミルと一緒にいたカリムも驚いた様子で「ジャミル、Aとそういう関係だったのか！今日は宴だな！」なんて言ってたっけ

「あまり広めたくなくてな、今まで黙っていたんだ」なんてジャミルが合わせてくれたからよかったけど

もし突き放されていたらと考えるとゾッとする

「はぁ…あれが話に聞いていた男か？君もとことん男運がないようだな」

頭を抱えながら溜息を零すジャミルに罪悪感がフツフツと込み上げてくる

『まさかあそこまで粘られるとは思ってなくて』

「だから警戒しろ、と言っただろう。あの手のタイプは相手の気持ちは考えず、自分の欲求を満たすだけだ」

『仰る通りです』

元の世界でも言い寄られる事はあったけど、どんな事を言われても無視していれば次第に向こうから離れていったから

『こういうタイプの人は初めてで…少しの間でいいの。私と付き合ってるって事にしてくれない？その間にどうにかするし、これ以上迷惑はかけないから』

語尾が小さくなっていく私にジャミルは再び盛大な溜息を吐く

恐る恐る顔を上げると真顔なジャミルと目が合う

「こうなってしまったのは仕方がない。今更どうしようもないし俺も鬼じゃない、問題が解決するまで恋人役は引き受けよう」

『本当！？』

「あぁ俺が相手で彼が諦めてくれるかは分からないが。やれる事はやってみよう」

思ってもみない言葉に自然と頬が緩む

ジャミル優しいとこもあるじゃない

「ま、この俺を選んだんだ。勿論ただでそんな面倒な事をしてやるつもりはない。せいぜい俺の為に動いて貰うぞ」

ハッと鼻で笑うジャミルに思わず固まる

前言撤回

こいつは鬼です