包帯の下の傷痕【太宰治】

14.美女 ページ15

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「国木田さん、太宰さん。今日はご迷惑をおかけしました」
「構わない。明日は通常業務に戻れるか？ 」
「はい。明日はいつも通り出勤させていただきます」


真面目な二人は明日の話をしている。そしてその横にいる私は偶然にも美しいお嬢さんを見つけ、彼女の元に駆け寄った。


「美しいお嬢さん。よければ私と心中致しませんか？ 」
「えっ、あ、う、美しい！？ 心中！？ 」


彼女は褒められることに慣れていないのか、それともただのコミュ障なのか、噛みながらも私の発言に返事をしようとしてくれている。こういうお嬢さんは本当に愛らしいと思う。Aちゃんがこれをしたら、もっと愛らしいのかな。なんて


「太宰！ 人様に迷惑をかけるな！！ 」


そう云って私の手を引き、私を捕獲する国木田君と平謝りのように「うちの先輩がすみませんでした！！ 」と何回も謝るAちゃん。


「いえ、大丈夫ですよ」
「麗しき御婦人。また今度、機会があれば是非お茶しましょうね」


Aちゃんを引っ張り、渋々ながらに御婦人の元を離れた。さっきまでの国木田君はどこへやら。今はぷんすかと怒りながら一人すたすたと先を歩く。

それとは引き換えに私と肩を並べて歩くAちゃん。夜が近づいているからか、少し元気そうだ。


「Aちゃん」
「なんですか？ 」
「ちゃんと睡眠はとりなさい。可愛い部下が倒れてしまったら、心配するから」

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