若頭と溺愛しています

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るぅとside

緩く括られたポニーテールに、黄色のパステルカラーのエプロン

お隣には台に乗って一生懸命ジャガイモを洗っている小さな背中

キッチンには美味しそうな匂いが漂っていた

「…Aー」

『ん？わぁ、！』

妻の愛らしい後ろ姿に抱きつく

『んー？どうしたの？』

「いい匂いだなぁって。」

そんなやり取りをしていると、ムスッとしたお姫様が

「ぱぁぱ！ぱぱもてつだって！」

と僕を見てほっぺたを膨らませる

「パパは味見係だからいいんですー」

妻の顔を覗き込んで口を開けてみれば

苦笑いしたAは、あたたかいソースを指で掬って僕の口に運ばれた

僕はそれをパクッと咥えて、舌で味見する

ふわりと広がる美味しさ

深いコクと、ちょっぴりのワイン

「おいしいぃっ！」

やっぱりうちの嫁が1番

可愛いし、気遣いできちゃうし、おまけに料理まで上手なの

まぁ、子供っぽいところあるし、無自覚だし、泣き虫…。

でもそんなところは恋のフィルターで可愛く見えちゃう

「もう1口…ちょーだい？」

『んふふ、だーめ』

「けちぃ…」

可愛くおねだりしても、流されてしまった

Aから離れて次は瑠華のところに行く

「るかちゃん、頑張ってますかー？」

「頑張ってまぁす！」

元気いっぱいの返信が返ってきた

「ん、いいこ」

頭を撫でてあげると、嬉しくなったのかニコニコとし出す

ママとお揃いのエプロンがなんとも可愛い

最近はお手伝いが好きらしく、親孝行な娘

……誰に似たんだか。

僕じゃありえないから、多分彼女だね

僕なんて、家族よりこんな仕事選んで…ほんっと。

親不孝な息子だよ

記憶の中の両親は、忘れかけてぼやけていた

『る……さん、！』

もう全然覚えてないや

はぁ、なんで僕は……。

『るぅとさんっ、！』

いきなりほっぺたを挟まれる

そして、現実に戻された

「っえ…？ぁ…」

『なに考えてたの…？』

「…んー、Aのこと」

『そんな嘘聞いてない。…ってか、ほんとだったら悲しいよ』

「え？」

『だってるぅとさん、思い詰めたような…顔してた』

そうだ僕、家族いたんだ

『んふふ、るぅとさんが私の事考えてる時は、顔ふにゃふにゃだよぉっ！』

「うんうん、こーんなかおっ！」

瑠華が大袈裟にやって見せる

「…ぷっ、あははっ、そこまでじゃないよぉ！」

「ふぅ…んぅ、ごめん。」

妻の額にキスを落とす

「やっぱ好きだよ」

『っ〜！？』

『なに、急にぃっ…！』

君に逢えて良かった。

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