生きる為の嘘 ページ1
嘘は、人間にとって身近なツールの1つだ。
人によっては毎日言うだろうし、一度も言った事が無い人なんて1人もいない筈。誤魔化しだって嘘だし、遠慮だって嘘だもの。
それなのに、他人は「嘘をつくな」「素直になれ」だなんて、馬鹿げてるよね。
素直に言ったら「遠慮しろ」って言うのにさ。
正直に話したら「空気を読め」って言うのにさ。
まあ、そんな事はさて置いて、俺は嘘つきが上手い自信がある。だって毎日ついているからね。
他人に見せる性格も、思っている事も、将来の夢も全部、嘘、嘘、嘘! 他人に本当の事なんてほとんど言っていないんじゃないかな。
それに踊らされてきゃらきゃら騒いでいる人達。滑稽だよね。馬鹿らしくて笑えてくるよ。
俺は、俺を分かってくれる人にしか、本心は見せない。だから、今のところ俺の本心を知っているのは、兄様とルノアールだけかな? それ以外はみぃんな綺麗事ばっかり!
「仲間は家族」? 俺の家族は兄様だけ。仲間なんてどうだって良いよ。ルノアールは親友かな。
「やりたい事は遠慮せずに言え」? なら、魔法使いを全部殺したいって言ったら何とかなるの? ならないだろう? どうせ止められるだけなら言わないよ。
その点、兄様もルノアールも俺の事を分かってくれる。「家族」だなんて不確かで腹立つ言葉は使わないし、俺が隠し事をしても何も言わない。静かに支えてくれるだけだ。
さてさて、また面倒な1日が始まる訳だけど。君達は俺に「嘘をつくな」なんて言わないよね?
言うなら俺は、君達を[――――]しなくちゃいけないから……言わないでね?
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