夢の試練 ページ10
神樹って凄い所だね! 身体も軽いし、魔法使いもいない! 2週間くらいのんびりしてたら、大分怪我まみれだった身体も治ってきた。だから、今日は少年隊に入るための試験の日だ!
1人で神樹の頂上まで登ればいいみたいだけど……正直、こんな簡単な試験でいいのかな? 登るだけなら運動出来る人は誰だって出来るよ。途中に何か仕掛けでもあるのかな?
「用意はいいかい? そろそろ始めるよ」
「大丈夫です」
「僕も、いつでも大丈夫ですよ!」
ジャレッドさんにはずっとお世話になりっぱなしだなぁ。今日も、ジャレッドさんが監視役をするんだって。頑張っておいでって笑ってくれて、それだけで何だかやる気が出てきた! よし、頑張ろうっ!
「それじゃあ、用意……──始めッ!」
力強い掛け声に反応して、僕はすぐに幹を登り始めた。
結構凹凸があるから登りやすいな。でも、気を付けないと滑り落ちちゃうから、油断は出来ない。
雪兄の姿は僕の前には無い。それだけが、いつもと違うこと。いつも雪兄は僕の前を進んで、道を示してくれたから。
だから僕は、1人で神樹を登り切って、1人でも大丈夫なんだって、雪兄に証明するんだ。
集中して登ってたら、いつの間にか頂上に着いていた。よしっ、これで僕は合格だ。雪兄が不合格なはずないけど、様子見に行こうっと。
登ってきた道を降りて、真ん中の辺りで休んでいた雪兄を見つけた。雪兄が座ってる辺りの上の枝に足を引っ掛けて、ぶらんと垂れ下がる。
「雪兄ッ! 僕登れたよッ!」
雪兄は表情が変わってないけど、ちゃんとびっくりしてた。大成功だね!
肩で息をしている雪兄の背中を擦りながら、じわじわと湧き上がってきた喜びを噛み締める。
嬉しい……2人で合格出来た……!
喜びの余り雪兄に抱き着いちゃったけど、怒らないで頭を撫でてくれた。雪兄の手は落ち着くなぁ……。
──風が吹いた。
ざわめく葉っぱ達が、景色を見ろって言ってるみたいで、僕は眼下を眺めた。
その景色は、さっきまでと一変したみたいに、綺麗だった。
魔法使いが暮らす街も、先を流れる川も、近くに広がる草原も……どれもが陽射しに輝いていた。
──守りたい。
この景色を。この景色を与えてくれる神樹を。この景色を見るであろう無能力者の子達を。
僕の隣で、僕と同じように景色に目を奪われてる、唯一無二の兄を。
この景色さえ守り抜けば、いつか、皆分かり合えるって。
根拠も無く、そう思えたから。
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
東雲 祀(プロフ) - 菜の葉さん» なるほど、"Agno Mageia"から少年隊に訂正しておきますね! ご指摘と応援ありがとうございます! (2019年7月21日 12時) (レス) id: 34b4d8e6b5 (このIDを非表示/違反報告)
菜の葉(プロフ) - 面白いです…! 思っていた通りの世界観が、想像以上に美しく、カッコよく書かれている…! 細かいことを言うのなら、試験はアグノマギアに入るためではなく少年隊に入るためのものですが、そこはまぁ解釈の違いということで! 更新頑張ってくださいね! (2019年7月21日 12時) (レス) id: 8971b2ec5c (このIDを非表示/違反報告)
十六夜月姫(プロフ) - おっさんが…うちのおっさんが…かっこいい……!ありがとうございます…!!お借りしたのを見ました…!おっさんの物腰柔らかな雰囲気が的確に出ていてかっこよきです…!ありがとうございます…!! (2019年7月21日 1時) (レス) id: 876f512bd1 (このIDを非表示/違反報告)
東雲 祀(プロフ) - 菜の葉さん» お褒め頂き、ありがとうございます! リンクの件、よろしくお願いします! (2019年7月20日 0時) (レス) id: 34b4d8e6b5 (このIDを非表示/違反報告)
菜の葉(プロフ) - 双子それぞれの個性ある語り口がいいですね! こちらの作品を、『リンク集』の方に貼らせていただきますね! (2019年7月19日 21時) (レス) id: 8971b2ec5c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ