双つで独つの、独り言。【神樹を守る子ら】

雪の成長 ページ11

無事に"Agno Mageia"の少年隊に入れた──はずだったけど、僕は少年隊じゃなくて、非戦闘員になった。
僕は叶音を、"Agno Mageia"の皆を支える立場になりたい。だから支援中心の非戦闘員になったんだ。
叶音は初めは渋ってたけど、説明したら納得して、快く認めてくれた。

そして、入隊試験からひと月が過ぎた。

僕は非戦闘員だから、戦闘能力よりも支援能力を重視される。僕の感情察知の力は敵の狙いや行動を予測するのに便利だ。だから、その力は伸ばしていきたいな。

それよりも今僕が優先しているのは、知識の確保だ。
何をするにもまず知識！ 魔法使いがどんな魔法を使うのか、こういう時にはどんな戦略が有効なのか、相手を的確に混乱させるにはどうすればいいか……非戦闘員として、知らなくちゃいけないことは沢山ある。
最近の僕は、少年隊で戦闘訓練をしている叶音とは別れて、書庫なんかで本を読み漁ってる。先輩方の見た魔法やその弱点、敵の行動パターンなんかが細かく記載されているファイルがしまわれているんだ。それを全て血肉にして、僕も皆の役に立てるようになりたい。

「何をしているの」

突然声が聞こえた。振り返ると、"Agno Mageia"のリーダーさんがいた。確か名前は、星屑夜さん。
このファイル、見ちゃいけないやつだったのかな……？

「ファイルを読んでいました。駄目でしたか？」
「いえ。ただ、ほとんどの人は訓練ばかりしているから、珍しいと思っただけ」
「あぁ……僕は、直接戦うよりも、皆を援護する方に徹したいんです」

素直な気持ちを伝えると、リーダーさんは僕の目をじっと眺めて、そう、と一言だけ答えた。

「頑張ってね」

小さく告げて踵を返すその背中に、僕ははっきりと、はい、と答えた。





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今回は、和椛 湊様の星屑夜さんをお借りしました！

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