ナカノヒトゲノム実況中 化狐４

１５２話　第九ステージ　やくそく ページ17

カイ「レイラちゃん」



　月明かりに照らされた少女は、ゆっくりと振り返った。


「…おにーさん？」


カイ「寝ないのかィ？」

「うん！ちゃんとねるよ。でも、もうすこしだけ…」

　カイ「妹ちゃんはまだ来てねェぜ」


「うん……ねぇおにーさん




　……レオ、来るかな」


　背を向けているから表情はわからないが、声には不安が混じっていた。

　いつも、こうして待っているのかと思うと切なくなる。
声の様子から、あまり来ないんだろうなと予測した。

カイ「さァな…」

　記憶に残らないとはいえ、嘘を言うわけにもいかずに結局言葉を濁らしてしまう。
今この状況のレイラちゃんに言えることは…と少し考えた。
導きだした答えは



カイ「レイラちゃん。俺と約束しねェか」

「…やくそく……？」




―――――――今だけでも希望を与えること。
間違ってるかもしれない。でも、ここに来てから知ったレイラちゃんのことを考えて、自分なりに出した答えだ。

少しくらい間違っていてもいい。


カイ「ああ。絶対に、妹ちゃんのことを大好きでいるっていうことでェ」

「なんで？レオのこと、だいすきだよ？」

カイ「…そうだったなァ。じゃあそのままずっと気持ちを変えないんだぜ」

　
　頭を撫でてやると嬉しそうに頷いた。

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