鴉に攫われたのは花嫁？花婿？【MHA】 (ページ29)

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29羽ページ29

『雄英生徒未だ行方不明』
新聞やテレビで大きく取り上げられてる

「またAちゃんのニュースですね」

「……」

「人気者ですねぇ」

「……」

トガを1度睨んでテレビに視線を戻す。
『根は優しい子』だとか『大人しい』だとか思ってもない事を零す元クラスメイト

いや、お前らと話したことねぇだろ？

「嘘っぽい人達ばかりですね」

「人間ってそういうもんですよ」

皆口を揃えて『早く見つかって欲しい』だなんて
思ってもない事を言うもんじゃないな

そんな事を思ってたらニュースが変わった。

『死穢八斎會の若頭、治崎か((ﾋﾟｯ

若頭のニュースになった途端にトガがチャンネルを変えた。

「このニュースだけは見せちゃダメみたいですよ」

「はぁ？……あそ…」

どうせ死柄木だろう。
そう思うだけで腹立たしくて…むしゃくしゃする

「それにしても暇ですね」

「……」

「Aちゃんって大分変わりましたよね」

トガの言うことを聞き流していく
大して興味はないし、意味がわからないから

「半年前までは泣き虫で弱虫って感じでした！」

「……」

「今は冷徹って感じです！…なんですかその目！」

「いや、相変わらずだなって」

思わずトガの顔を見て笑った。
僕が冷徹なんて有り得ない…
今だって不安でたまらないのに

「私はAちゃんの事好きですよ」

「何いきなり」

「だってMr.の手を治してくれましたし」

「あれは若頭がやった事だから」

仲間を傷つけ、殺されるのってかなり辛いし
自分に出来る事をしただけだし

「だって、あの個性は痛みが伝わるんですよね？」

「…まぁ、数分程度ですけど」

個性を使う度に痛みを負う時間がバラバラになった
怪我を負って治すまでの時間なのか…
それとも怪我の具合なのか

「別に痛いのには慣れればいいし」

「それだと身が持たないです！」

「うわっ！？」

顔を近付けられてソファーに体が倒れる。
そんな僕の上にトガが跨った…

「降りてくれません？」

「嫌です」

「降りてく「好きです！」はぁ？」

「Aちゃんの事が大好きなんです！」

貧弱な僕にはトガを抑えることが出来ずに抱き着かれ…そして…

「痛っ！」

「Aちゃんの血を少しください」

左腕をナイフで切りつけられてその傷口をトガの口が覆った。

「やめて！」

そう言って体を突き飛ばした時にはもう遅く…
トガが自分そっくりになったのは言うまでもない。