鴉に攫われたのは花嫁？花婿？【MHA】 (ページ26)

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「…ん、」

固くて冷たい床の感触。
真っ暗で広い部屋の中に僕は制服のまま寝かされていたらしい

「…な、なに…？」

手になにか触れた…
冷たくて少し柔らかい感じ。

手を伸ばしてもう一度触れてみる。
持ち上げてみると重みがあって…片端が枝分かれしている。

________________5本に…

「え、…あ、うそ…」

暗闇に目が慣れてきて僕は抱えたそれの正体を理解した。

それを理解した上で持ち主も分かってしまった。
間違いなく若頭の腕だった。

綺麗に整えた爪。細くも筋力のある腕。長くて綺麗な指。2度も自分で修復したんだ…間違えない

「わかっ、…どこ「起きましたか？」ひっ？！」

僕の背後から明るく女の子らしい声で顔を覗かせる

「渡我被身子！！」

「いやですねぇ…トガって呼んでください！」

「俺も居ないんだけど！！」

当然の様に顔を近づけるトゥワイス。
そして________

「気持ちよさそうに寝てたなぁ…」

身体の奥に響く気味の悪い声。
足音が近づく度に血の気が引いていく…

「目覚めはどうだ？」

「……最悪です」

死柄木弔
敵連合のリーダーで若頭の腕を崩壊された。
そして僕をここに連れてきた本人

「若頭は何処に居るんですか」

「そんな怖い顔しなくてもいいだろ」

呆れた顔で部屋の奥を顎で示した。
暗闇に目が慣れたと言えど…奥に何があるのかわからない。

その瞬間________

「っ、眩しい…」

部屋に明かりが灯り顔を顰めながら部屋を見渡した

恐らく…廃工場。
プレス機、散らばった廃材や重機が目に付いた。

そして部屋の奥には…

「若頭！！」

片腕を失い、片腕を鎖で繋がれた若頭が気を失って壁にもたれ掛かった姿があった。

「若がっ？！」

「それ以上近づくと荼毘に燃やされるかもな」

僕が若頭に近づこうとした瞬間に青い炎が目の前に広がった。

死柄木が僕の正面に立ち、ニタァっと笑う。

「さぁ…取引だ！」