25羽 ページ25
_______轟 side
「今日機嫌いいね」
「そうか？」
緑谷の声に横を向くと何故か嬉しそうな顔をした。
「変化く、さん？」
「俺…そんなにわかりやすいか？」
「うーん…幸せオーラ全開って感じかな」
「……」
緑谷の言葉に手で顔を覆う
確かに今日は気分がいい…と思う。
「変化さんて何か習ってた？」
「俺が知る限りでは…幼い時に親父に…」
「へぇ！」
今思うと何故親父がAに肩入れしてたのだろうか
親父が好む強い個性ではないだろう…
いや、幼い時から礼儀正しくて母さんにも姉さんにも好かれてたし…普通なのか？
「轟くん？」
「お、」
「考え事？」
「いや、大した事じゃねぇ…」
ふと外を見ると空が真っ赤に染まっていた。
Aはちゃんと家に帰ったのだろうか？
ちゃんと飯とか食ってるんだろうか？
あの男とどういう関係なんだろう…
あれ…？
俺はアイツの事を知ってる？
「…何処で？」
考え出すと止まらなかった。
アイツの事を俺は何処かで見てる…絶対に…
「思い出せねぇ…」
考えれば考える程 頭の中が白くなっていく。
確か…雨が降ってた日で…
『 死穢八斎會、若頭である治崎 廻が未だ行方不明』
毎日の様にテレビに映るヤクザの顔。
正直見飽きた。
「……っ！？」
「轟くん？！」
なんで気づかなかった？
毎日テレビで観てた筈なのに…
なんで忘れてた？
Aが泣いていた日のことを…
そう思うと体が勝手に動いていた。
本来なら先生達に許可を取りに行かないといけない
でも…今は…
「それどころじゃねぇ、っ」
俺とすれ違う度にクラスの奴らが俺の名前を呼ぶ。
「轟さんっ！」八百万が俺の腕を掴んでいた
「そんなに急いでどうしたんですか」
不安そうに俺の目を見る。
「Aが…危ねぇかもしれない…」
「え…？」
「アイツがAの家に居る…脅されてるのかもしれねぇ…」
口を開くと不安が一気に飛び出て言葉が止まらない
周りのヤツが「落ち着け」とか「大丈夫か？」って言ってる。
________________ﾋﾟﾛﾝ
上着のポケットに入れていたスマホにメールの通知
俺は嫌な予感を感じつつメールを開く…
『ごめん』
その一言だけだった。
送信者は勿論…A。
俺はクラスメイトを振り払ってAの家に走った。
ごめんの意味が俺にはわからない。
教えてくれよ…
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 100人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
モンブラン - 私好みです！この小説！更新楽しみにしてます！頑張って下さい！ (2018年6月27日 22時) (
レス) id: d05c83c0be (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：猫太 | 作成日時：2018年3月8日 12時
