鴉に攫われたのは花嫁？花婿？【MHA】 (ページ15)

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「…ん……」

窓から入る眩しい光に目が覚めた。
時計は6:13を表示してｶﾁｶﾁと音を立てていた。

「…朝ごはん」

味噌の匂いが鼻を掠めて空腹だと気づいた…
その後僕は絶叫した。

「本当にごめんなさい…」

机の上に並べられた朝食に手をつけながら謝る。
僕の目の前に呆れた顔をした若頭が座った…

「近所迷惑になる。気をつけろ」

「はい…」

疲れている筈の若頭が朝食を作ってくれていた
本当は僕がやるべき事なのに…

「お前、時間大丈夫か？」

「…へ？」

「時間」

若頭が時計を指さす。僕も時計を見る。時計は7:48を表し秒針が進んでいった。

「あ、…遅刻っ！！」

「後片付けはしとく」

「ありがとうございます！」

申し訳無いと思いながら部屋に戻って制服を着る。
予定も何もわからない…でも、行かなくちゃ

「兄さん」

「なんだ」

「…行ってきます」

若頭にそう伝えて外に出ると…

「A」

「もしかして待ってた？」

「あぁ」

幼馴染が何食わぬ顔をして玄関の横に立っていた。

「先行っててよかったんだけど…」

「いや、俺が一緒に行きたかったんだ」

「そ、そっかぁ」

そこから以前のように授業内容の話だったり新しくしたヒロコス、仮免講習の事…等沢山の話を聞いた

「なんか楽しそうでよかった」

「そうか？」

「うん！」

前よりクラスメイトの事を話すようになってる。
仲の悪かった爆豪さんの事とか…
口にすら出さなかったエンデヴァーさんの事まで…

僕の知らない間に色々変わったんだな。

「じゃあ、僕はこっちだから…」

「あぁ…」

焦凍と離れて身に染みる。
僕が空けていた数ヶ月の時間があまりにも大き過ぎた事。

普通科の皆も色んな意味で大きく成長を遂げていて
僕だけが取り残されている感覚だ。

「……変化か？」

「心操くん！！」

仲の良かった彼が1番変わっていた。
僕の名前を聞いた瞬間にクラスの皆が珍しい物を見るような目を向けて来たのも理解した。

(あぁ…この感じ…大っ嫌いだ……)

自身の野次馬根性で僕に起きた事を聞きたがる。
両親を失った後にもこんな事があったな…

(自分より不幸な奴がいて安心したいんだ…)

そして僕の体に穴を開けて喜ぶんだ。
どうせほぼ無個性で役にすら…「やめろよ！」

「し、んそ……くん？」

そうだ…彼は……心操くんは違った。
僕の事を「僕」として見てくれる人だった。