12羽 ページ12
「無駄に広いな」
「元は3人で暮らしてましたから」
何とか若頭を説得して自宅に久しぶりに帰還した。
数ヶ月間空けていた家は広くて寂しく感じてしまう
「お風呂とか入りますよね？」
「あぁ…」
「掃除して沸かすので待っててくださいね！」
リビングから出て風呂場を目指す。
この家に帰ってきても1人だった時と違い、若頭が居てくれると思うと嬉しくて仕方がなかった。
でも、それ以上に居なくなってしまうのではないかという気持ちも湧いて複雑な感じになる。
「…学校行かなきゃだよな」
1日の殆どを学校で過ごすことになってしまう。
その間に何処かに行っちゃう…。
______________ﾋﾟﾝﾎﾟｰﾝ
お湯を溜め始めた時にインターホンが鳴り響いた。
僕は動揺してしまい声が震える。
「は、はい！」
『Aか？』
インターホン越しに幼馴染である焦凍の声が聞こえた。モニターを見ると間違いなく彼の姿があった。
「どうしたの！？」
『家の前を通った時に物音がしたから気になった』
「あー……」
『今大丈夫か？』
「え"っ！？」
リビングを見渡して最初に目に入ったのが若頭だ。
流石に私が誘拐される時に顔を見てる筈だから…
「ちょっと待ってて！！」
『お…』
焦凍が何か言いかけてた途中で勢いよくインターホンを切って若頭に詰め寄る。
「お風呂入ってきてください！」
「溜めたばかりだろ」
「長く入ってていいので！」
「……」
何かを察してお風呂場へ向かっていった。
「着替えは置いてあります！新品です！！」
若頭を見送った後に急いで部屋を片付ける。
散らかっている訳じゃないけど…空けてたし……
「お待たせ！！！」
「……大丈夫か？」
出てきた僕の顔をのぞき込む焦凍。さっきはあまり気にしてなかったけど顔に絆創膏、ガーゼ、痣が沢山あった。
「その怪我、どうしたの？」
「仮免講習」
「綺麗な顔が男前って感じになってるね！」
「切島にも言われた」
「…そうなんだ」
少し不機嫌そうにリビングへ向かっていく。
恐らく地雷だったのだろう……
僕は焦凍の後ろを歩きながら苦笑いを浮かべる。
(どうか…若頭がバレませんように……)
と心の中で何度も唱える。
「あ」
何かを思い出したかのように焦凍が立ち止まり僕を見る。
「な、なに？」
「おかえり」
「……え？」
焦凍に抱き締められて思考回路は停止。目の前は真っ白になっていく…
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モンブラン - 私好みです！この小説！更新楽しみにしてます！頑張って下さい！ (2018年6月27日 22時) (
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作者名：猫太 | 作成日時：2018年3月8日 12時
