11羽 ページ11
若頭を助けて壊理ちゃんを失った。
僕達はどれ位歩いたのだろうか？
結局歩けるのは薄暗い路地裏だ…
「わ、若頭？」
「なんだ」
「何処に向かってるんですか」
人気のない路地裏で僕は思わず口を開いた。
微かに響く声が少し不気味に感じて心臓が速く動くのを感じた。
「今の俺に帰る場所があると思うか？」
その言葉に返す言葉が見つからない。
守って来たものを失った。帰る場所も大切な人も…
彼は全て消えてしまったんだ。
「お前も消えればいい」
「え…？」
「元の生活に戻りたいだろう」
確かに何度も帰りたいって…戻りたいって…思った
この数カ月で起きた事が全部夢ならどれだけ良いと思ってきたか…
でも、
今は_______
「若頭を置いて帰るなんて僕には出来ないです」
「俺が可哀想で情けない…とでも？」
「違います…僕が若頭と一緒に生きたいだけです」
僕の過去に似てしまったからじゃない。
1人で生きて行くのは辛くて苦しい事を知ってるから
「阿呆らしい」
冷たい返答。冷たい表情。
全てを拒絶するような言動は_______
「昔の僕に似てます」
「何言ってるんだ」
「両親を失った時の僕に似てるんですよ」
「意味がわからない」
顔を逸らすように前を向いて歩き出す若頭。
僕は置いてかれまいと早歩きで後ろについて行く。
「両親が亡くなった日、僕保護された時に_____」
10年も前の事なのに最近の事のように覚えてる。
テロ行為で街は崩壊。死傷者も数え切れない程いた
走っても走っても安全な場所なんて無かった。
「若頭も僕の両親を知ってるんですよね」
「……」
「…あの日、実験施設が爆発したの知ってます？」
実験施設にあった燃料が漏れて炎が引火して起きた爆破。その現場の近くに僕がいて風圧で少し飛ばされた。
「その後、お母さんが助けに来てくれて怪我も治してくれたんですよ」
目を覚まして最初に見たのはお母さんの泣き顔。
その後にお父さんも来てくれた。
「5分後には僕の目の前で殺されてしまいました」
敵は躊躇いもなく、楽しそうに笑って両親を殺した
その笑い声が耳に張り付いて可笑しくなりそう…だと何年も悩まされた。
「その笑い声が最近聞こえなくなったんです」
若頭。壊理ちゃん。死穢八斎會の皆と居たら消えた
「今更1人になるのが怖いんです。僕は」
我儘なのは理解してる。
でも、やっぱり言わなくちゃ
「僕の家で暮らしましょう」
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モンブラン - 私好みです！この小説！更新楽しみにしてます！頑張って下さい！ (2018年6月27日 22時) (
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作者名：猫太 | 作成日時：2018年3月8日 12時
