4話 夢主side ページ4
｢八百万さん！｣
｢お任せ下さい！｣
ドォンと音を立ててネットが宙を舞う。
氷で動けない足場の中で耳郎さんと上鳴さんが為す術なくギブアップをした。
｢やりましたね！｣
｢八百万さんのお陰ですよ｣
｢とんでもないです！轟さんが居なかったら｣
耳郎さんと上鳴さんの拘束を解いて皆の元へ
今はヒーロー学の対人訓練をしていて2人1組のチーム戦のような授業。
｢2人共息ぴったりやったね！｣
｢｢ありがとうございます｣｣
｢もう仲良しさんなんやね！｣
私達に気付いて駆け寄ってきた麗日さん。
1番最初に緑谷くんとペア戦を終えたばかりで疲れている筈なのにすごく元気…
｢…Aちゃん左手痛めた？｣
｢いえ、冷えちゃったので暖めてるんですよ｣
｢大丈夫ですか？｣
｢元々左は冷え症なので…｣
笑って誤魔化す。
ヒーロースーツで補えると思ったけど甘かった…
私の身体は幼い時から寒さに弱く、すぐに冷える
暑さには強いので体温調節をしているんだけど…
｢保健室行くか？｣
｢行かない｣
｢震えてんじゃねぇか｣
｢…左は使わないんでしょ｣
｢……｣
私の言葉に左手を止めた。
兄は昔から父の事を嫌っている…
『戦いの場で絶対に左は使わない』それが口癖。
｢私の身体は私でなんとかするから｣
これはきっと嫉妬だ。
さっき観た兄の戦いが羨ましかったんだ
建物を丸ごと飲み込むような氷が使える個性を
2つの個性を使いこなせるのに使わない事が
｢ずるいよ。兄さんは。｣
初めて個性を発動して兄同様に両親の個性を継いだ
だけど寒さに耐えられなくなり倒れる私を見て父は
『こっちは欠陥品か』
と呟いた事を未だに忘れられない。
未だに父は私とは口を聞かない。
＊
＊
＊
考え事をしている間に授業が終わったらしい…
気が付いたら更衣室で着替えをしていた。
｢そう言えば…｣
蛙吹さんが私をじーっと見つめていた。
何だろうと笑ってみると________
｢轟ちゃんとスーツが同じなのね｣
｢あー！確かに！｣
1番したくなかった話題が上がった。
｢性能の事しか書いてなくて…｣
個性の事、身体の事を書いただけで衣装の要望は特に何もしてない。
いざ着てみると兄と一緒のスーツだった…という事
｢私、先戻りますね！？｣
恥ずかしくなって急いで更衣室を出た。
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作者名：猫太 | 作成日時：2018年9月11日 12時
