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密かな碧 ページ13

『……あっ』



たくさんのものがある中でひときわ目を引いた青。
それは恋の始まりの、アレ。



(ラピスラズリ……)



ちょっと古めかしいショーケースに入っていたラピスラズリのネックレス。瑠璃姫か持っていたものと酷似している。

隣の水晶の光を反射して輝く青。
その存在すべてに惹かれた。

特に理由もなしに来た雑貨屋だったけど、買うつもりなんて無かったけど。




『おばちゃん!これ、欲しい』



学生の財布に優しい値段ではなかったが、それでも私はこれを買うべきだと思った。

これを買うためにここへ来たのだと。



「まいどあり。大切にしておくれよ」

『うん。大切にする。ずっと大切にする』



そうかい、と笑って見送ってくれたおばちゃん。


私は立ち止まりネックレスを取り出す。

白銀のチェーン、その先の青。深みあるその青にしばらく見とれていた。


首の後ろに手を回してチェーンを止める。
少しの重みに、恋が少し加速した。






(瑠璃姫は今何してるかな……)





帰りの足取りは軽かった気がした。

青い春→←寄り道



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作者名:涙花* | 作成日時:2017年1月21日 14時

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