君に恋するひとりごと【ky】 (ページ23)

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>>24時間の2人ページ23

＃５時のカレ

顔に何かが当たった感触に薄目を開く。寝相が悪いから、と一緒に寝るって決めたときに真っ先に壁側を陣取ったAは、あんなに大事そうに抱えていたキヨ猫を俺の顔面に当てて気持ち良さそうに寝息をたてていた。キヨ猫共々捨てられ、何も知らないですやすや眠るAの前に謎の敗北感に浸る。休日のAが起きるのはもう少し先だから、乱れた布団をかけ直して敗者同士仲良く、俺がキヨ猫を抱いて寝ることにした。

＃６時の２人

背中合わせで寝るふたり。いつもはどちらか一方にしかかかっていなくて、地味な取り合いをすることになる布団も、両方にかかっていて。アナログの時計の秒針だけが音をたてる寝室に、ふたりだけの世界が出来ていた。

＃７時のカレ

カァーカーッと、俺の嫌いなもののほぼ頂点で輝くカラスの声で目覚める。朝から鳴くな。お前も寝ろっ。カラスに逆ギレしながら、寝てるAを起こすか迷う。もう少し寝顔を見てたい気もするが、死んだように眠りこけるAを起こしたい気もある。柔らかそうなほっぺたに俺の悪戯心が刺激されてそろそろと指を伸ばしてつつく。くすぐったかったのか渋々という感じで開いた目から、恨みがましい視線を感じるが華麗にスルーして、おはようのキスをした。

＃８時のカノジョ

寝惚けたままベッドで少しだけキヨと戯れて、今はご飯の時間。ふたりともあんまりお腹が空いていなかったから、昨日懐かしくて思わず買ったアンパンマンのスティックパンをつまむ。
『おいしっ』と思わず感想を言うと、朝からうるさいと叱られる。
ねぇ、本来はもっと寝てたかった私を起こしたのだーれ！
小学校の先生みたいに尋ねると『はいっ！』とちっとも反省してない元気な声が返ってきたから、その口に余ってたスティックパンを突っ込んだ。

＃９時のカレ

休日だからと言ってたいした用事もない俺らは普通に家にいた。俺は録り溜めてたドラマの消費を、Aは鼻歌を歌いながら洗濯物を外に干しているという何ら代わり映えのしない休日。
ベランダに見えるAは俺の家とマッチしすぎていて、俺の方がお邪魔してる立場なんじゃないかと錯覚するくらい人妻感があって頬が勝手に緩む。
そそっかしいあいつがベランダから落ちないように見張りつつもドラマの急展開に追い付く為に、無駄に頭を使ったのはお口ミッフィーだ。