大雪な彼女 ページ12
大雪な彼女
図書室で３冊目を読み終わったところで荷物を取りに教室へ戻る。窓からは雪のせいで外は何も見えない。帰りのJRを確認するも、全部運休のばつ印がついている。
「もしかして学校にお泊まり？」
あーあ。歩いて帰ろうにも、極度の方向音痴に吹雪による視界不良、おまけにひとりぼっちとくれば、無事に帰れる気がしない。だれか助けてよぉ。
「あれ、A帰ってねぇの？てか、帰れんの？」
「無理」
「だろうな。Aって方向音痴だろ？」
「……ストーカー？」
「ちげぇわ。てか、研修旅行で迷子になったAを見つけたの俺なんだけど」
「あったね、そんなこと」
救世主登場っ！と思ったら部活終わりの清川だった。あんま接点ないし頼りづらいとがっかりしたところに、まさかの情報。
清川に助けてもらったのは、数あるうちの迷子の1回。たくさん迷いすぎて誰に助けてもらったかははっきり覚えてないが、この清川通称キヨだった気がしなくもない。
「もちろん今回も私を助ける気はあるよね？」
「はいはい。俺的には翌日雪だるまになったAを見んのもいいんだけどな」
「感謝」
他のサッカー部員は、遅延を見越して終わった瞬間持ち前の脚力を生かして消えたらしい。運悪く教室に忘れ物をしたキヨだけが取り残されたってわけだ。キヨは運が悪いが、私には控えめに言って最高だ。
「忘れ物はナイス。学校泊まりを免れたぁ」
「それはいいから道覚えろよ」
フードをすっぽり被って前を歩いて道を作ってくれるキヨ。道を覚えようとしても、どこを歩いてるかはさっぱりわからない。いつもの駅へ向かう道ではないから、どこに向かってるのかもわからない。
「キヨ〜。どこ向かってんの？駅反対じゃん」
「反対じゃねぇよ、幼稚園児かよ」
「高校生だよっ！」
雪でかき消されないよう大声で話しかける。反対じゃないなんて、キヨがいなかったら詰んでたなとか思いながら黙って着いていく。
「着いたけど」
「どこだよここ 。キヨん家？」
「そ。JR終日運休らしいから」
いやいや、待てよ。ほぼ初めましての女の子をJRないからってダメでしょ、
脳内お花畑にしてたら、奥からキヨのお母様が出てきて万札を貸してくれた。……そういうあれね。私の乙女な心と心臓返せよばーか！
お陰で私は無事帰宅ができ、もちろん借りたお金は次の日一番に返しました。
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#友人手前 #帰宅日和 #大雪
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作者名：涙(るい) | 作成日時：2021年2月1日 7時
