白い彼女 ページ1
白い彼女
「君もサボり？」
講義がダルくて屋上の扉を開ける。声がした方を向くと、ソーラーパネルの裏の日陰に白いワンピースを着た同い年くらいの女がいた。どこか掴み所がなくてふわふわしている彼女と3人分くらいの隙間をあけて隣に座る。
「私はA、20歳。お察しの通りサボりだよ。君は？」
「俺はキヨ、19歳。Aさんはよく屋上に来るんですか？」
「あっAでいいよ。ここでぼーっとするのが好きでさ、よく来るんだぁ」
19歳の夏の屋上、授業をサボって屋上に来たら、美少女って言葉がよく似合う1歳年上のお姉さんに会いました。
「おっ今日も来たの？私に会いたくてなんて、健気ですなぁ」
「俺屋上に来てから一言も発してないんだけど。薬きめてんの？」
俺を年下だと舐めてからかってくるA。初めて会ってから３ヶ月。授業をサボる延長で屋上に来ていたのに、今ではこの人が、ここに来るメインの用事になりかけている。
俺だけが相手の態度に一喜一憂するのが悔しくて、余裕なAを崩すために３か月前から縮まったAとの距離をあと少しで鼻がぶつかるところまで詰める。
「Aはこの距離でも俺を年下扱いすんの？」
「A“は”ってことは、他の女の子にもしてるんだ！遊ぶのはほどほどにしなさいよ、少年」
お日さまみたいに笑うAは、いつも通りで変わらない。文学部で本が大好きなAは、俺みたいなもどかしい恋愛も飽きるほど読んだことがあって、俺の気持ちにも気づいているんだろう。そして、思い違いじゃなければ俺のことを好いている。なのに、確かな反応はくれない意地悪な先輩だ。
「ねえ、A的にここで告白すんのは面白い小説？」
「小説としてはダメダメだけど、実は不器用でヘタレな君にしては、ギリギリ及第点かな」
言葉のナイフが俺にグサグサと突き刺さる。実際、３ヶ月でAとの距離をを3人分から１人分までに縮めることしかできなかった俺は、何も反論できない。
「このタイミングで言うのはカッコ悪いの知ってんだけどさ」
「A、俺と付き合ってください」
「告白遅い！待ちくたびれるとこだったじゃん。こちらこそよろしくお願いします！」
これで屋上以外でも会えるねと、嬉しそうに言うのは反則技に俺のライフはもうゼロだ。
『すぐに追い付くから、今だけは背伸びさせて』
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#ダメダメ主人公 #屋上のアオハル #年下舐めんなよ
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作者名：涙(るい) | 作成日時：2021年2月1日 7時
