5本目 ページ7
「視えるわ邪魔くせぇ。このクソ糸、どうにかしろや」
「っ……すみません」
引きつった声で謝った。そっか、気になる人は気になるよね……というかこの縁は相手からも視えてしまうのか。初耳だよそんなの。
「謝罪とかひとまずどうでもいいんだよ。てめェの個性ならさっさと何とかしろ」
そんなことを言われても、という話である。殴られる前に言ってしまった方がいいんだろうか。言ったら殴られるってか半殺しは免れなさそうだが。一応女子だし顔はやめてほしいな……だなんて考えながら、殴られる決心をして口を開いた。
「ホンットーに申し訳ないのですけれど、私には、その……どうすることも、出来ない、です……ハイ」
「は？」
口元だけ笑いながら、1歩また1歩と距離を詰められる。その度に私も後ろへ下がるのだが、お決まりの如く背中と壁がぶつかった。ああ、日当たりが悪いのか壁がひんやりとブレザー越しの背中を冷やしてくるな、なんて頭の隅で考えながら震えた。
「ふざけてんじゃねぇぞクソモブが！」
殴られると思いきや胸倉を掴まれ、爪先立ちになる。身長差は10�兪宛紊覆里任錣蠅閥譴靴�、掴んでいる手を自身の両手で引き剥がそうとするもびくともしない。クッソ……これが男女か。いやそれ以前に体育祭で優勝してしまうような人間に一介の女子生徒が力で叶うわけがない。
「止めっ……」
「止めてほしけりゃさっさと解除しろよ？ 苦しいままだぞ？」
凄い、ヒーロー科なのに凄く敵みたいだ。どうにも出来ないという意味を込めて首を横に振ると、片手なのにもかかわらず爪先が浮きそうなくらい持ち上げられた。待って、本当に苦しい。絞まってる、完全に決まってる。
「1回、離して……くださ……！」
涙目で懇願すると、舌打ちを1つこぼした後にパッと手を離された。脚に思うように力が入らず、ドサリと音を立てて地面にへたり込む。こっちは普通科の女子だぞ、何考えてるんだ。そんな目で睨みつけても、その3倍怖い視線を返されて泣きそうになった。私が弱いんじゃない、相手が強いのだ。
「オラさっさとしろ」
そんなこと言われたってこっちはまだ全然息が整ってないんだよ！ 自分勝手か！！ スーハーと深呼吸を数回行って、まだ息の荒い口を開いた。
「結論から言います。私には、どうすることも出来ませんでした」
「……死ね！」
うわ止めろ！ 掌を爆発させるな！ 慌てて次の言葉を紡いだ。
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廿楽(プロフ) - くまめとろさん» 復活しました。待っていてくださってありがとうございます。コメントも感謝致します。 (2021年9月16日 1時) (
レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 瑞乃さん» 長い間放置していて申し訳ありません。また読んでいただけると嬉しいです。 (2021年9月16日 1時) (レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 朧月さん» お待たせしました！喜んでいただけて嬉しいです。 (2021年9月16日 1時) (レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
くまめとろ(プロフ) - 更新の通知きてびっくりしました…好きなので嬉しいです (2021年9月1日 21時) (レス) id: b5e5ff3f06 (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - 更新させてて叫んでしまいました……！ありがとうございます(；；) (2021年8月25日 12時) (レス) id: e6a7fa3ebe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廿楽
| 作成日時：2017年8月25日 15時
