43本目 ページ45
「あれA今日は元気じゃん」
席について爆豪君からの既読を確認したところで友人である悠香が声を掛けてきた。この数日、悠香にはだいぶ心配を掛けたようで、軽めの忠告を受けて素直に謝った。こちらの非と向き合ってくれる友人は大切にすべき……だと私は思う。その後に彼氏との惚気話を散々浴びたのでプラスマイナスで言えばゼロに近いのだが、悠香も私が本調子できっと嬉しいのだろう。そう考えれば可愛い友人である。
朝のホームルームを流し聞きし、頭に引っ掛かる教師の単語に教卓を見る。そして私は思い出した。笑いあり涙ありの学生生活に忍び寄る最大の敵である、定期テストの存在を。中間テストがすぐそこまで迫っている。自分のことに精一杯で何1つ考えていなかったが、確かに授業中に各教科の教師達が思わせぶりな解説をしていた記憶がうっすらと蘇った。
――まずい。私は決して成績が悪いわけではないが、1回聞いて全て理解できるほどの頭脳を持ち合わせているとは言えない。国語は日本人だからなんとかなる、英語は悠香に頼み込んで教えてもらうとして、社理は一夜漬けで多分中間程度の範囲なら平均点未満にはならないだろう。問題は数学である。何がわからないのかもわからない教科につき、私は毎度時間を掛けることで乗り越えてきたが、今回はそうもいかない。最悪の場合捨て……いや、それでは天国の母親に顔向けができない。とにかく中間テストに関係ない授業は最低限板書のみ写して、内職を決め込もうと決意した。
それからは1分たりとも無駄にするわけにはいかず、コミュニケーションも最小限に済ませてひたすらテスト勉強に勤しんだ。友達いなくならない？ と心配されそうだが、わりと似たような状況の生徒もいるらしく、浮いてしまうということはなかった。そもそも名門校で勉学に勤しんで浮くはずもないけれど。
テスト前日、家だと怠けてしまうので私は下校時刻寸前まで図書室の隅で足掻いていた。図書室はあまり使ったことはなかったが、広いし蔵書も豊富で何より人が少なくて静かであるため勉強や暇潰しに最適だということに気付いた。面白そうな本があっても読んでいる場合ではないのが悲しいところだ。
「何でこうなる……？」
周りに人がいないのをいいことにボヤきながら問題集を解く。公式を覚えても問題の難易度が上がった途端に躓くのだ。
「てめェ何やっとんだ」
「あ〜悠香？ ごめん後に――」
目に入ったのは友人とは程遠い人物だった。
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廿楽(プロフ) - くまめとろさん» 復活しました。待っていてくださってありがとうございます。コメントも感謝致します。 (2021年9月16日 1時) (
レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 瑞乃さん» 長い間放置していて申し訳ありません。また読んでいただけると嬉しいです。 (2021年9月16日 1時) (レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 朧月さん» お待たせしました！喜んでいただけて嬉しいです。 (2021年9月16日 1時) (レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
くまめとろ(プロフ) - 更新の通知きてびっくりしました…好きなので嬉しいです (2021年9月1日 21時) (レス) id: b5e5ff3f06 (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - 更新させてて叫んでしまいました……！ありがとうございます(；；) (2021年8月25日 12時) (レス) id: e6a7fa3ebe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廿楽
| 作成日時：2017年8月25日 15時
