28本目 ページ30
放課後、ふと何かが突っかかって中庭を覗いた。
モブ3人の向こうに1人、見覚えのある奴がいた。今頭を悩ませている元凶、結縁Aである。何だあいつ。確かにビクビクしてたりでうぜぇけど絡まれるタイプでもないだろ。そもそもあいつの個性ならこういうことも回避出来るんじゃねぇのか。などと考えながら目を離さずにいた。
「あんたに爆豪君は不釣り合いよ」
「それな！！！」
そんなやり取りが耳に入ったのか、爆豪勝己はその癖が付いたのような眉間の皺を広げて目を丸くした。まさか自分がこの小競り合いの原因だとは考えてもみなかったのだ。それと同時に若干の罪悪感が爆豪の中に湧いた。あの爆豪といえど人の子であり、ましてやヒーロー志望。責任感は人1倍強いのである。がしかし、その感情は同じ瞬間にある感情で相殺されていた。
「それな！！！」という彼女の食い気味な同意である。その言葉に爆豪を貶める意味合いは含まれていなかったが、この爆豪勝己という男はプライドが人の2倍も3倍も高かった。故に、「不釣り合い」という単語に対して自分へのマイナスイメージだと思い込んでしまったのである。となれば後は、「あのクソアマ後でぶん殴る」という感情が残った。
モブ、もとい女子生徒達が去り、結縁Aが帰ろうと自分の前を通り過ぎた瞬間に乱暴に肩を掴んだ。当然驚いて目を見開く彼女に違和感を感じた。こいつ、あんなことがあったのにどうしてこんな間抜け面なんだと。いや、女子生徒達が去った後は少しだけ動揺していた。しかしその対応中に、確実に何かを思案していたように見えた。冷静に、ああいった女子達にどう対応していいのかを見極めていたようにも思える。これは爆豪の考えすぎかもしれないが、確かに結縁Aという人間は変な胆力の強さを発揮する時がある。
「あの、爆豪？」
戸惑ったようなその声で爆豪は外の世界へ引き戻された。気不味そうな結縁が肩の手を見て言う。
「その、手離してほしいんだけど」
漸く爆豪は自分が彼女を引き留めていることを理解しまた乱暴に、肩を押すように手を離した。思いの外強く押してしまったのかよろけた結縁が尻餅をつく。
目が合って数秒、爆豪が自分と比べ細い腕を引き上げようとした瞬間に彼女は勢いよく立ち上がり、逃げるように帰路についた。全力で走れば余裕で追いついたものの、彼はそうしない。
――完全に、意思を持って避けられた。
そう強く感じたからである。
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廿楽(プロフ) - くまめとろさん» 復活しました。待っていてくださってありがとうございます。コメントも感謝致します。 (2021年9月16日 1時) (
レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 瑞乃さん» 長い間放置していて申し訳ありません。また読んでいただけると嬉しいです。 (2021年9月16日 1時) (レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 朧月さん» お待たせしました！喜んでいただけて嬉しいです。 (2021年9月16日 1時) (レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
くまめとろ(プロフ) - 更新の通知きてびっくりしました…好きなので嬉しいです (2021年9月1日 21時) (レス) id: b5e5ff3f06 (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - 更新させてて叫んでしまいました……！ありがとうございます(；；) (2021年8月25日 12時) (レス) id: e6a7fa3ebe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廿楽
| 作成日時：2017年8月25日 15時
