26本目 ページ28
言うなれば、ずっと私は“お姫様”だった。勿論本当の身分なんかではなく、比喩として。けれど本当に、あの時世界の中心は私だった。
人はそれを、黒歴史と呼ぶのだろうか。そうかもしれない。今思い返せば顔を覆いたくなる程に恥ずかしいものだった。ただ、視えないからこそ幸せなことも事実だと、そう思ってしまうのだ。
「で、どうなったの」
「どう……？」
「惚けないでよ〜爆豪勝己とそ・の・後」
語尾にハートマークが付きそうな強調をして友人はこちらを見つめた。特に何もなかった(と言ったら嘘になる気もする)ので流しておいた。それにしても悠香はどうして私と爆豪を取り持とうとするのだろう。そのことを尋ねてみた。
「……冷やかし？」
「うわ……」
少し引いてみせると、彼女は手をブンブンと横に振って焦った。まあ、冗談だろうね。流石にそれくらいはわかっていたけれど、からかってみたのだ。
「Aはさ、なんて言えばいいんだろう。澱んでるっていうか」
失礼だと思った。ただ悠香のことだから、私を貶しているわけではなく何かを言いたいのだろう。言葉が見つからないだけで。言葉選びにあたふたしている親友を見て思わず口元が緩んだ。それを見逃さなかった悠香は少しムッとして言った。
「こっちは気にしてるのに〜」
「悠香が一体何を気にするっていうのさ」
「だって……いや、何でもない。教えなーい」
「何それ」
小さな間の後、私達は笑いあった。悠香が何を気にしているのかは正直気になって仕方がないが、無理矢理聞いては嫌われてしまうかもしれない。だから私は笑い声に全てを閉じ込めたんだ。
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廿楽(プロフ) - くまめとろさん» 復活しました。待っていてくださってありがとうございます。コメントも感謝致します。 (2021年9月16日 1時) (
レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 瑞乃さん» 長い間放置していて申し訳ありません。また読んでいただけると嬉しいです。 (2021年9月16日 1時) (レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 朧月さん» お待たせしました！喜んでいただけて嬉しいです。 (2021年9月16日 1時) (レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
くまめとろ(プロフ) - 更新の通知きてびっくりしました…好きなので嬉しいです (2021年9月1日 21時) (レス) id: b5e5ff3f06 (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - 更新させてて叫んでしまいました……！ありがとうございます(；；) (2021年8月25日 12時) (レス) id: e6a7fa3ebe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廿楽
| 作成日時：2017年8月25日 15時
