20本目 ページ22
「え、朝痴漢を引き剥がしてくれたのってあなただよね？」
「…………」
なぜそこで黙るのか。思い返してみても爆豪だし、うーん……どうしたものか。考えられる可能性は1つ。
「……もしかして双子とか？」
「んなわけねえだろ馬鹿かてめェ」
「じゃあやっぱり爆豪さんじゃん」
「しつけぇな……だったら何だよ」
「だからお礼がしたいんだって」
「いらねぇうぜぇふざけんな」
流れるように拒否されたし罵倒まで付いてきた。でもな、私も簡単に引くわけにはいかないのよ。なぜかって？ そりゃ、勿論人としての返礼義務もあるけど……冷静に考えてみて？ あの爆豪勝己に借りを作りたくない。
「いるから、絶対いるから。ていうかするから」
「いらねえっつってんだろ！」
「ひっ……い、いる！ いいから好物なり要望なり言って！」
「てめェほんっとしつけえな！ いらねえって何回言えばわかんだよ！？」
「そっちこそいつになったら認めるの？ 助けてくれたのはあんたでしょうが！」
ビビりながらも言い返す自分は本当に阿呆だと思う。こういう時に昔の、強気な口調が出てしまうのも子どもだな、と自分に呆れてしまう。ただお礼が言いたいだけなのに、どうしてこうなるの。
「助けたつもりはねぇよ！ 普通のことやっただけだわ」
「それが助かったんだって。そのお礼を言いたいだけなんだから素直に聞いてよ……」
「……面倒くせぇ」
舌打ちを零しつつも漸く聞いてくれる気分になったらしく、少しホッとした。小さく深呼吸をして、距離の縮まない背中に向かい声を出す。
「朝はありがとうございました。正直少し怖かったので凄く助かりました。よければ、というか是非お礼をさせてもらいたいです……」
言った、言ったぞ。当たり障りの無い言葉だけど、ちゃんと言えた。
「……さっきも言ったが礼はいらねえ。寧ろ迷惑だ」
「え、でも……！」
「でもてめェがしつけえから礼の代わりに条件を付ける」
えっ何だろう。怖いなぁ……パシリとか、は無いか。想像がつかないな。と恐る恐る顔を上げると、一瞬だけ目が合った。
「前も言ったそのクソうぜぇ敬語、鬱陶しいから止めろ。次出したら殺す」
「どうせまた会うんだろ」と呆れたような、何かを諦めたような声色で呟くように付け足して、爆豪はまた歩き出した。私はハッと我に返って返事をし、また数m離れた後ろから帰路につくのだった。……敬語、そんなに嫌いなのか。気をつけよう。
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廿楽(プロフ) - くまめとろさん» 復活しました。待っていてくださってありがとうございます。コメントも感謝致します。 (2021年9月16日 1時) (
レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 瑞乃さん» 長い間放置していて申し訳ありません。また読んでいただけると嬉しいです。 (2021年9月16日 1時) (レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 朧月さん» お待たせしました！喜んでいただけて嬉しいです。 (2021年9月16日 1時) (レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
くまめとろ(プロフ) - 更新の通知きてびっくりしました…好きなので嬉しいです (2021年9月1日 21時) (レス) id: b5e5ff3f06 (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - 更新させてて叫んでしまいました……！ありがとうございます(；；) (2021年8月25日 12時) (レス) id: e6a7fa3ebe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廿楽
| 作成日時：2017年8月25日 15時
