16本目 ページ18
「そういうのよくない」
「あ？ 何か言ったか」
慌てて口を噤む。常に睨んでくるから目を合わせることすら怖いのだ。携帯を投げるように返されたので慌ててキャッチする。アスファルトの上に落ちたら無残なことになるだろうな、と肝を冷やした。連絡用アプリの新しい友達欄に表示された“爆豪”という文字にどことなく威圧感を感じて唾を呑み込んだ。
「言っとくけど余計な連絡したら殺す」
「しません、しないから絶対！」
ふん、と鼻を鳴らすと前をスタスタと歩いていってしまった。ある程度離れて、漸く体の緊張が解けた気がした。駄目だ、私あの人と対面しているだけで緊張するわ。やっぱり友達とか到底無理だと思う。
離れた背中をぼんやりと見つめながら考える。彼は何をそんなにいつも怒っているのだろう。そういう性分だと言われればそれで納得するしかないけれど。……何だか勿体無いなぁ。もう少し大人しかったらさぞ人気が出ただろうに。というのも、先程気付いたのが爆豪って実は整った顔をしているのだ。普通にしていたらきっと轟焦凍と同じくらい人気が出るだろうに。
私がそんなことを考えたところでどうにもならないのだが。とりあえずどうしようかなこの赤い縁。お父さんとお母さんは赤い縁で結ばれたと聞いたし、恐らく切る方法は本当にわからないのだろう。叔父は海外だし、それに縁結びの個性をそこまで強くは継いでいないと話された記憶がある。
やっぱり、どうにかするなら自分達でするしかない。正直なところ私は今更縁なんてそこまで気にならないのだが、まあ……普通は気になってしまうし煩わしいと思うはずだ。だって全然面識のない人間がいきなり運命の人だと言って現れたら誰だって怖いでしょう？
少なくとも私は赤い縁の存在を知っていたのに、相手を確認した瞬間怖いと感じた。突然そんなものが現れて、切れない自分にしか視えないなんて冷静に考えれば悪夢だ。そう考えるとなんだか悪いことをしたような気分になる。
それに、神社の娘がこのまま何もせずにいるというのもどうだろう……と思うのだった。せめて中1の時に現れてくれたならなぁ、と左手を苦笑しながら見つめた。そんなことは知らない、というように呑気に赤が揺れた。
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廿楽(プロフ) - くまめとろさん» 復活しました。待っていてくださってありがとうございます。コメントも感謝致します。 (2021年9月16日 1時) (
レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 瑞乃さん» 長い間放置していて申し訳ありません。また読んでいただけると嬉しいです。 (2021年9月16日 1時) (レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 朧月さん» お待たせしました！喜んでいただけて嬉しいです。 (2021年9月16日 1時) (レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
くまめとろ(プロフ) - 更新の通知きてびっくりしました…好きなので嬉しいです (2021年9月1日 21時) (レス) id: b5e5ff3f06 (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - 更新させてて叫んでしまいました……！ありがとうございます(；；) (2021年8月25日 12時) (レス) id: e6a7fa3ebe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廿楽
| 作成日時：2017年8月25日 15時
