15本目 ページ17
どうしてただ普通に帰りたいだけなのに、そうさせてくれないのだろう。前世大罪でも犯したのか、私は。
「何つけてきてんだよ」
「私の家もこっちなだけ」
「てめェさっき実家は島根だかって言ってただろ」
「実家はね。毎日島根から通えるわけないじゃん。親戚に学校通っている間だけ住まわせてもらってるの」
本当は普通に家を借りる予定だったんだけど、通学圏内に親戚の家があるならそっちの方が安心だということらしい。親戚が丁度海外へ長期滞在するタイミングだったので1人暮らし状態だが、その方が楽ではある。
「よく出来た話だな」
「ご縁があるようで」
はじめは雄英に縁があるものと思って喜んだが、本当はそうじゃなかったのかもしれない。そう思うと色々萎えてしまうのだった。
「このクソ糸、一生解けねえとしててめェはどうすんだ」
「なるべく意識しないように過ごすしか出来ない」
「邪魔なんだよこれ」
「利き手だからね。そればかりはもう慣れてとしか」
また舌打ちをされた。特に結ばれているという感覚は無いだろうし、慣れれば気にならなくなる……とは思うのだけど、やっぱりそれには時間が掛かるだろうか。
――もう思いきって友達にでもなっちゃえば？
友人の言葉を思い出す。……いや無理でしょ。だってこの人ずっと眉間に皺寄ってるよ？ 怒ったところしか見たことないよ？ そもそも友情なんて感情が存在しているのかも怪しいし。いや、かなり失礼だけど。
「聞いてんのか糸女」
「え、何か言ってた！？」
「てめェふざけんのも大概にっ……」
「わー公共の場での個性の使用は原則禁止ー！」
「わかっとるわ騒ぐな死ね！」
ね、友達とかいうレベルじゃないでしょ？ 死ねだよ死ね。ヒーロー志望なのに。
「で、何て言ったの」
「連絡先」
「は？」
「だから、念の為連絡先教えろっつってんだよ」
「え、は？」
予想外の要望に思考回路は混線しかけていた。
「つべこべ言わず携帯寄越せ！」
「せめて理由」
「クソ糸が消える方法が見つかった時の為に決まってんだろ馬鹿か」
意地でも縁を切りたいんだね……無駄だって薄々はわかっているだろうに。でもな、私が彼と連絡先を交換したいかしたくないかといえば間違えなくしたくない。だって怖くない？ 理不尽に呼び出されたりしそうじゃない？
「って私の携帯！」
「外ポケットに入れてんのが悪ぃ」
断り方を考えている間に勝手に登録をされていた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2370人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「ヒロアカ」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
廿楽(プロフ) - くまめとろさん» 復活しました。待っていてくださってありがとうございます。コメントも感謝致します。 (2021年9月16日 1時) (
レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 瑞乃さん» 長い間放置していて申し訳ありません。また読んでいただけると嬉しいです。 (2021年9月16日 1時) (レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 朧月さん» お待たせしました！喜んでいただけて嬉しいです。 (2021年9月16日 1時) (レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
くまめとろ(プロフ) - 更新の通知きてびっくりしました…好きなので嬉しいです (2021年9月1日 21時) (レス) id: b5e5ff3f06 (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - 更新させてて叫んでしまいました……！ありがとうございます(；；) (2021年8月25日 12時) (レス) id: e6a7fa3ebe (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：廿楽
| 作成日時：2017年8月25日 15時
