9本目 ページ11
「待てコラ！」
「無理です無理ー！！」
何で普通に普通科の生徒をやってる私が校内で体育祭１位と鬼ごっこをしなければならないのでしょう。これも縁なのでしょうか。１言言わせて下さい。ふざけんな！
何で？ どうしてこうなった？ 私何かした？ 鬼ごっこでお昼を食べられないような事がありますか、この世で。ていうかヒーロー科はほら、午後に何かキツい授業とかあるんじゃないんですか？ お昼は食べた方が良いのでは？
「ぜぇ……何とか撒いたかな……」
息を切らせながら非常階段に座り込む。さすがにここには来られないだろう。人も滅多に来ないだろうし。これからどうしようかな……卒業まで校内鬼ごっこはごめんだ。かといって退学するわけにもいかない。考えただけでため息が漏れた。
「わざわざ自分から居場所を知らせるたぁいい度胸じゃねえか……糸女よぉ」
寒気がした。怖すぎて声がした方向なんて見られない。ただ、逃げなきゃいけないことを本能的に悟ったらしく、階段を降りようと脚を前に出していた。
――が、そう上手くいくはずもなく、肩を引かれた私の体は後ろへ傾き、そのまま冷たい踊り場へ尻餅をついた。肩を引いた手の主は勿論目の前の凶悪敵面ヒーロー科人間だ。この人は私が女だということを理解しているのだろうか。尾てい骨の辺りが鈍く痛んだ。
逃走本能が刺激されて力の入らない脚で立ち上がろうとするも、腰の辺りに跨った爆豪のせいであえなく失敗に終わった。クッソ……重いなぁ！ 女子の上に馬乗りとか何考えてんだこの人、正気か。
「はっ……逃さねえぞ、説明しやがれ」
そう言って突きつけてきたのは右手の小指だった。しっかりと赤い糸で結ばれていて、その先は間違えなく私の左手の小指だった。うーん昨日と同じで、口は笑ってるんだけど目は怒りそのものなんだよなぁ。あと重い。
「せ……つめいも、何も無いです」
「は？」
「私だって絶望してて……」
あれ、何か涙出てきた。そりゃそうだよ。その絶望感を少しでも和らげるために今日はデザートを付けるつもりだったのに、デザートはおろかご飯にすらありつけてないんだもの。その上怖い同級生に追いかけられたら泣きたくもなるわ、うん。
「ッチ」
舌打ちが聞こえて、重みから解放される。さすがに幼気な女子高生に馬乗りはまずいと気付いたんだろうか。あ、いや、逃げたら殺すみたいな視線を送ってくる辺り優しさなんて微塵も感じないけど。
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廿楽(プロフ) - くまめとろさん» 復活しました。待っていてくださってありがとうございます。コメントも感謝致します。 (2021年9月16日 1時) (
レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 瑞乃さん» 長い間放置していて申し訳ありません。また読んでいただけると嬉しいです。 (2021年9月16日 1時) (レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
廿楽(プロフ) - 朧月さん» お待たせしました！喜んでいただけて嬉しいです。 (2021年9月16日 1時) (レス) id: 3ef6add51e (このIDを非表示/違反報告)
くまめとろ(プロフ) - 更新の通知きてびっくりしました…好きなので嬉しいです (2021年9月1日 21時) (レス) id: b5e5ff3f06 (このIDを非表示/違反報告)
瑞乃(プロフ) - 更新させてて叫んでしまいました……！ありがとうございます(；；) (2021年8月25日 12時) (レス) id: e6a7fa3ebe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：廿楽
| 作成日時：2017年8月25日 15時
