ホームレスにはなりたくないです。

#25 ページ28

玲於に説明された通り、中目黒で降りて改札を左に出て。







『ここか。』






警備員さんが立ってるって言ってたからここであってるはず。







恐る恐る警備員さんに近づいて








『あの、佐野玲於に届け物で…』








警備員「どうぞ」







中へ入れてもらえてエレベーターに乗り込む。







指定された階数に着く。









玲於「A！｣









『玲於ー！よかったぁ〜。』









持ってきたUSBを渡す。









玲於「ありがと、ほんと助かった。」









『いーえ、頑張ってね！』









玲於「おう、晩飯楽しみにしてる笑」









その後に“先に寝ててもいいよ”って付け足して。








『大丈夫、待ってるよ』









そのまま事務所を出た。









外はすっかり夜の景色で









『もう９時前だもんねー。』









近くの信号で信号待ちをしていると









「や、べぇ……」








振り向くと








コンビニの前の椅子に座って何か膝を気にしている。









『ガラス!?』









その人の足にはガラスが刺さっていて、血が出ている。









『え！え、大丈夫ですか!?』








もうこの状況助けるしか。笑









「え、あ、まぁ。いや大丈夫じゃないけど、まぁ。」









その人が誰だかはもちろんわかんなくて








キャップをかぶってマスクもしているから顔もわからない。









『これ、使ってください。』








そう言って私は自分のハンカチをその人の膝に巻いた。









『こうしておけばとりあえず血はちょっとは良くなるはずです。』








では、と言ってその場を去る。







「ありがと！」









後ろからかけられた声に振り向いてひとつお辞儀をして横断歩道を渡った。









『早く治るといいな、あの人。』

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