03 ページ3
わたしを真っ直ぐ見つめる大きな瞳に、きつく結ばれた唇。
夏特有の生ぬるい風が頬をかすり、息をしていなかったことに気づく。
わたしは生きたい、の？
川辺に映る自分のシルエットに尋ねても
何も帰ってこない。
本当は、心のなかでは、
生きたい、って
揺るがない答えが出ているはずなのに。
声が出ない。
「いま、」
男の子の声で顔をあげると、橙色の夕陽で目が眩んだ。
「いま言えへんのやったら、今度会ったとき教えてや」
全て分かりきったようなそんな顔で、
同い年にしてはあまりにも疲れきった様子で、わたしに言った。
はじめてみるような、そんな人だった。
「俺お前みたいに暇人ちゃうから、もう行くわ」
はあ、と空を見上げたのち
ポケットからスマホを取り出して、時間を確認したのか一つため息をついた。
またな、ってわたしとすれ違うときに、微かに聞こえて
その言葉はつまり �� 次会うまでは生きていろよ �瓩覆鵑討いΠ嫐�なのかもしれない。
わたしがその言葉をそう解釈したときには、もう辺りには男の子はいなくなっていた。
さっき掴んだ腕は、夢みたい。握ったはずなのにあのときの感覚はほとんど消えていた。
「意味、わかんない…よ」
スカートのなかにあるスマホのラインの通知音が鳴ると、
全てが消されたように現実に戻らされた。
お母さん ： ご飯いるの？
既読をつけたからには、返信をしなきゃいけない
そんな習慣を意識的に無視してスマホの電源を切った。
所詮、小さな箱にしか過ぎない。
そんなものに感情なんてないのに、わたしは今まで何を気にしてたの。
ため息とは少し違う、吹っ切れた息を吐き出し
雑草で埋め尽くされた河川敷きにドカッと座った。
「生きたいよ、あほ」
左手をみると草で切れたのか、赤い血が流れていた。
生きている証だった。
小さな痛みを感じた。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 53人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「関西ジャニーズJr」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ほのか(プロフ) - コメント失礼します。大西くんが好きなので面白いです！続きがすごく気になります！更新楽しみにしています♪！ (2018年1月21日 14時) (
レス) id: 1b2ebe5b56 (このIDを非表示/違反報告)
涙花。(プロフ) - 憂雅さん» いえいえ、わざわざメッセージとコメント両方下さり嬉しいです。私としても新たな挑戦として楽しく捉えて書こうと思うので、遅く更新スピードではありますがお付き合いください (2017年7月9日 0時) (レス) id: f3e5fdec58 (このIDを非表示/違反報告)
憂雅(プロフ) - リクエスト、応えていただいて本当にありがとうございます！更新楽しみにしています。 (2017年7月8日 9時) (レス) id: 43f21d8ca1 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：涙花。 | 作成日時：2017年7月7日 22時
