天邪鬼 -Ren Meguro- (ページ1)

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Seventeen① ページ1

貴「アメリカから来ました、鬼ヶ峰Aです」

高2の6月。
中途半端な時期に転入してきたそいつは
無愛想に、どこを見てるのかわからない目で名乗った。

勘のいい人間ならこの時点で何となく察するでしょ？
この女の鬼ヶ峰という苗字の物騒さからも分かるように…

いやていうか佇まいで、何なら入ってきた時点で教室中勘付いてはいたんだけど。

仕事でなかなか学校にいないこの俺でも分かる。

こいつがやばい女だということは。

髪は顎までしかなくそこからちらつく右耳にはぎょっとするほどのピアスの穴が開いている。
果たして血管が本当に通っているのかと疑うほど白く血色の無い肌。
身体は今にもポキっと折れてしまいそうなほど細い。
身長は女にしては高い方。165、6くらい？

担「お、鬼ヶ峰さん以上でいいのかな？」

オロオロと尋ねる担任に彼女は目を伏せて頷く。
いや以上かよ。そんな短え自己紹介聞いたことねえわ。

担「えっと…鬼ヶ峰さんはさっきも言ってたようについこないだまでアメリカの高校に通ってたそうなんです」

一気に教室がざわつく。「マジかよ」「やっベーセレブじゃんw」とはしゃぎ出す男子もいれば「あの見た目で？w」とヒソヒソ声で嘲笑する女子もいた。

担「いつから向こうにいたんだっけ？鬼ヶ峰さん？」
貴「…小5からです」

担任は気を使って聞いたのだろうが張本人は心底めんどくさそう。ため息混じりに答えたぞ今。

担「えぇ…じゃ、じゃあ鬼ヶ峰さん一番後ろの窓際の席座ってもらおうかな」

隣になるやつかわいそ。絶対やだわ、
まあ俺の隣なんだけど。

どーりで隣空いてるわけだわ誰か欠席とかじゃねえのかよ。
黙ってつかつかと歩いてきたと思えば鬼ヶ峰はどかっと席に座った。

「…っす」

呟くように一応挨拶はした。
そんで無視された。

俺への鬼ヶ峰の反応に奥の女子たちは文句を言ったり睨んだり。
男子も決して落ち着いてるわけではない。恐れおののいてる。

担「さっ！新たに仲間も加わったことですし、これからよりよいクラスにしていきましょー！」

隣で頬杖つきながら窓の外を眺めている女を見て心の中で叫んだ。

ぜっっっっっったい無理です！！！！！