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貴方に暫くのお別れを。 ページ7

『遠い国に、行くことになったよ』
帰ってこられる確率なんて、分からない。


gr
「…ああ、そうだな」

それは悲鳴ともとれる小さな肯定。
どうして、そう唇を噛み締めることしか出来ない。
いかないでなんて貴方は困ると解っているから、
彼はただ貴方に口付けを落とす。
今更取り消すことなど出来ない。
けれどその紅は、不安を隠しもせず揺れていた。



tn
「ほんまに、あの国に…」

彼は昔見た書類を思い出す。
死の国、なんて呼ばれていた国の書類を。
気に求めなかった、大した国でも無かったから。
けれどもしそれが本当だったなら?
貴方が帰ってこないとしたら?
止まらない不安と戸惑いを飲み込み、
彼はただ貴方を強く抱きしめた。



os
「必ず帰ってきてや。…ね、約束」

止められない、止めることは許されない。
そんな事は痛いくらい解ってる。
だからせめて、必ず帰ってくると約束してくれと。
その言葉に無理して貴方が笑顔を作れば、
「無理せんでもええんや」そう悔しそうに、
それでも貴方を不安にさせぬようにそっと頬を撫でた。



ut
「…俺もつれてってや、A」

噎せ返る様な煙の中で彼は小さく呟いた。
誰にも崩すことの無かったあの曖昧な笑顔が
どうして今こんなにも子供のように歪んでいるのだろう。
「なんてな、行ってらっしゃい」
隠すように吐かれた言葉はやけに優しくて。
貴方が手を差し出すことを、まるで待っているようだった。



kn
「駄目に決まってるやろ」

冷えきった目が貴方を捉える。
『でも』そう呟く貴方を彼は強く抱き締め、
「行くな」そう子供の様に首を振って呟いた。
我儘でしかない事はわかっている。
それでも言わずにはいられなかった。
貴方がそっと抱き締め返し、大丈夫だと笑えば
彼の口から泣き言が溢れ出した。



sha
「置いてかんといて」

糸が切れたように彼は泣き出してしまった。
ぽろぽろと零れる涙は拭っても止まらなくて。
貴方の笑顔がもう見れなくなるかもなんて、
そんな可能性考えたくもなかった。
「俺と、一緒にいて」小さく零れたその悲願、
叶わないと知っていても言わずには居られなくて。



zm
「何でAが行かんといかんのや」

彼の顔から表情が消える。
何で、なんて簡単な事。これは任務なのだから。
そんな事頭では分かっているのに、
大好きな貴方を何処にも行かせたくなくて。
「俺も、行くから」決して1人にはさせないと、
震えた決意が部屋に小さく響いた。

2。→←2。



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(プロフ) - Chio_さん» リクエスト承りました!詳しくありがとうございます、お待ちください! (2019年3月16日 17時) (レス) id: d4f842234d (このIDを非表示/違反報告)
Chio_(プロフ) - 2度目になってしまうのですが、リクエストお願いしたいです!股ドンしてみた。とか見たいです!股ドンする方が夢主でもわえわえでもどちらでも大丈夫です! (2019年3月16日 16時) (レス) id: 8df7c484b7 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - 雪菜さん» リクエスト承りました!!いつも閲覧ありがとうございます、お待ちください!! (2019年3月16日 11時) (レス) id: d4f842234d (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - リクエストお願いします。夢主に一目惚れをした彼らの反応を見てみたいです。宜しくお願いします。 (2019年3月16日 10時) (レス) id: 326cd46c38 (このIDを非表示/違反報告)
(プロフ) - irumikaさん» リクエスト承りました!!いつも閲覧いただきありがとうございます、しばらくお待ちください! (2019年3月15日 22時) (レス) id: d4f842234d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名: | 作成日時:2019年2月25日 16時

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