お父さんとお母さん ページ19
.
『ヒロ、きたよ〜』
大翔「お...ね...た....ん...」
((お姉ちゃん))
『うん。最近来れなくてごめんね。
昨日、ミュージカルの東京公演が終わったんだ。』
そんな話をしながら大翔の足をマッサージする。
意識が戻って、少ししてから行った検査では
ヒロの脳には言語障害が残り、単語や名詞が思うように出てこなかったり、スムーズに話すことが難しいという診断が下った。
一方で、歩行などに関しては長期のリハビリが必要になるものの、大きな障害が残ることはなく、麻痺も残らないと言われた。
"麻痺が残らない"
それが本当に本当に嬉しかった。
.
.
『よし、ヒロ。今日も頑張ろうか。』
大翔「う.....ん...」
((うん))
『これはなーんだ。』
大翔「.............わ..あ...ら...ない」
((分からない))
『これはね、トマトっていう野菜だよ。』
大翔「と...ま...とぉ..」
((トマト))
『うん、上手だよ。じゃあこれは？』
そういってリハビリ用に用意してもらっている
カードをめくると...
大翔「お....と..さ..ぁ...ん....」
((お父さん))
『えっ...』
慌ててカードを見ると、そこには男の人のイラスト。
大翔「ヒ...ロ...の...お...と...さ...ん...は..？」
((ヒロのお父さんは？))
正直、一番聞かれたくないことだった。
もちろん黙っているつもりはなかったし
頃合いを見て話すつもりだった。
だけど、まだ目が覚めてから2ヶ月。
目が覚めた直後も、体力の低下などから
緊急の処置が必要な場面も多くて
ここ1ヶ月くらいでようやく落ち着いたような状態だった
だからまだ動揺させたくなかったのに...
大翔「お...ね...ちゃ...ん...？」
((お姉ちゃん？))
だけど、ヒロに嘘をつけるほど私は強くなかった。
『ヒロ...落ち着いて聞いてね。
ヒロは交通事故に遭ったって聞いたよね？
お父さんとお母さんも交通事故に遭ってね、
8年前に亡くなったの...』
ヒロ「...っ....」
『お姉ちゃんのせいなの..っ...
ごめん...ごめんなさい..っ...』
ヒロ「..っ..あぁぁぁぁ...！！」
パニックになったヒロを目の前に頭が真っ白になる。
『ヒロ！ヒロ！！』
林「大翔くん！先生が来たからもう大丈夫だよ。」
気がつけば、林先生が病室に飛び込んできて
ヒロの様子を見て、何やら動いてくれているけれど
もう頭が真っ白で何も分からなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 7922人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「SnowMan」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
妃楼 - 初コメントです！10日程前にこの作品と出会いました！色々な状況の変化に、耐えられるか、不安もありましたが、どの部分も、飛ばさず読ませて頂きました。 作者様の辛い想い、私も虐められていた経験があるので、よく分かります。 お身体に気を付けて頑張って下さい！ (2022年2月23日 8時) (
レス) @page31 id: 60c432015e (このIDを非表示/違反報告)
美紀(プロフ) - 移行おめでとですコロナと最近寒くなってきたので体調などにも気をつけてくださいね (2022年2月6日 13時) (レス) id: 3abf21e40c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：みるくてぃー
| 作成日時：2022年2月5日 22時
