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佐久間side
Aは、今にも飛びかかりそうなラウールを止めて
早川さんと向き合うために起き上がろうとした。
その身体はフラフラで
さっきみたいにソファから落ちかけても大変だから
背中を抱き起こして、支えてやる。
「...はっ...はぁ...」
身体を起こすことすらもしんどそうで...
『...もう無理だよ。』
みんなが限界を悟っていた。
ラウ「どうしてですか...?」
蓮「ラウ?」
ラウ「どうして、Aちゃんのことを
金儲けの道具としか見ていないんですか...?
栄田さんも、早川さんも、一部の幹部の人も...
なんでそんな冷酷なことができるの?
目の前で苦しんでいるんだよ?
こんなにもがいて苦しんでいるのに、なんとも思わないの?
どれだけ頑張っているか、なんで分からないの?
分かろうとしないの?ねぇ、なんでよ!?」
早川「....俺にとっては、そんなことどうでもいい。
お前達が売れたいと思っているのと同じように
俺達だって出世がしたい。
それの何が悪いんだよ?」
ラウ「だからって!
誰かの健康を損ねてまで、自分の願いを突き通そうとするのは違うじゃん!!
誰がどう見たって、Aちゃんは限界じゃん!
それでも時田さんを、俺達を守るためにステージに
立とうとしているんだよ!
そんなの弱い者イジメじゃん!
最低だよ!Aちゃんの大切なものを人質にして
弱みを握って、ホントにクズすぎる!」
早川「お前...」
泣き叫ぶラウールの気持ちが痛いほど伝わって
苦しくなった。
これまで、限界ギリギリのAは何度も見てきたけど
正直ここまで追い込まれている姿は見たことがなくて...
これ以上、頑張らせてしまったら
もう二度と、俺達のもとに戻ってこないんじゃないかって、とんでもなく不安になって、苦しくて...
時田「...一部始終を滝沢さんに報告します。
タレントのことを一切考えない、自己中心的な責任者がいるから、外してほしいと要望も出します。」
早川「...お前、あんまりふざけているとクビにするぞ。」
時田「...俺は別にクビでもいいですよ。
その代わり、これ以上、大切なタレントを傷つけないでください。
タレントは商売道具ではありません。
一緒に頑張る仲間です。
彼らを支える立場の俺らが、彼らの足を引っ張って
どうするんですか?
あなたはタレントと関わる適性がなさすぎる。
人事部にあなたの人事異動を提案します。」
早川「お前!!」
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作者名:みるくてぃー | 作成日時:2021年10月28日 19時