10人目は頑張り屋さん22 (ページ36)

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目黒side

"ガチャ"

『戻りました。』

楽屋に戻ると、ソファに力なく腰をかけているAちゃんと、心配そうに背中を摩ったり、肩を抱いたりしているメンバーの姿が目に飛び込む。

深「あ、おかえり。ありがとうね。」

ラウ「...ふっかさん、ちょっといい？」

『岩本くんも...』

最終的にはみんなに伝えるけれど、Aちゃんのことを考えると、ここで大きな声で言えるわけもなく...

とりあえずグループの柱である
ふっかさんと岩本くんに伝えるべきだと思った。

照「ん？なに？」

ラウ「...廊下でいい？」

『うん。2人とも、お願いします。』

照「ん。」

深「うん。」

不思議そうな顔をしながらも
廊下に出てきてくれた2人。

『単刀直入に言います。

...Aちゃんのカバンの中から
他の病院でもらった薬が見つかりました。』

深「え...」

照「他の病院って、どういうこと...？」

ラウ「この間、康二くんが薬を欲しがっていたって言っていたでしょ？
東大和病院に行ったら俺達に迷惑がかかるとか、薬を貰えないかもしれないとか思って、新しい病院に行ったんじゃないかって思って...」

照「じゃあ、Aは東大和病院で診てもらっていることを隠して、別の病院で代わりの薬をもらったってこと...？」

ラウ「多分、そうだと思う...」

『それに、睡眠薬と精神安定剤を過剰摂取した可能性があります。処方された薬の数と、手元にある薬の数が合わないんです...』

深「そんな...」

照「嘘だろ...」

深「...俺は何やってんだろう。

Aとちゃんと話さないと、
あの子の心とちゃんと向き合わないといけないのに。

そうしないと、また後悔することになるのに..っ...」

照「ふっかだけじゃないから。俺達も同じだよ。」

『...ふっかさん、Aちゃんのこと怒るの？』

深「...怒れるわけがない。
Aは、限界を超えてもなお、俺達のために頑張ってくれたんだ。それなのに俺達は何してた？

滝沢くんのことだって、早川さんのことだって、
探せば俺達に出来ることが、まだあったはずなのに
結局、簡単な方に逃げて、口だけで心配して
何一つ行動にしないで...

そんな俺達に、限界まで頑張ったAを
怒る資格なんてあるはずないじゃん。
ないじゃん..っ..」

そう呟いたふっかさんの顔は
これまで見たことがないくらい悲しそうだった。